基地によって交わる危険区域と自然区域

『キャンプ・ブラズ』には、5つの実弾射撃訓練場が整備されます。こちらはピストルの射撃訓練施設。数字はレーンを示していて、手前の小さな土手から的が飛び出す仕掛けです。

與那嶺キャスター「私たちは、射撃訓練場の裏側に来ています。そちらのすぐそばにはリティディアン岬という観光客にも人気のビーチが広がっています」

“グアム一美しい”と称される「リティディアン・ビーチ」。
その一帯は自然保護区となっていて、希少な動植物が生息しています。

こちらは、アメリカ軍の環境影響評価案に示された地図。青の部分が実弾射撃訓練場。オレンジの部分が銃を向ける方向に広がる危険区域です。自然保護区の一部が危険区域と重なり、その影響を懸念する声が上がっています。

射撃訓練場の監督責任者「(銃弾が)海に落ちるかもしれませんが、レーダーで監視し、ビーチで誰かが歩いていないかなど射撃前にこのエリアを確認します。また、訓練場の下には、島全体のおよそ80%の水を供給する水源『帯水層』が広がり、水質汚染の恐れも指摘されています」

海兵隊は定期的な水質調査を実施するなどとして安全性を強調しています。

與那嶺キャスター「こちらはキャンプ・ブラズ内にあります記念碑です。こちらではグアムの先住民・チャモロ人の埋葬地などが見つかったようです。ただそのすぐそばでは、海兵隊の宿舎が建設されています。キャンプ・ブラズ内ではこのように文化的な遺産が見つかっていて工事が遅れているということです」

先人への敬意、求められる遺産の保護の今後は

工事の過程で見つかった先住民チャモロ人の遺構。海兵隊は“チャモロ人への敬意”として記念碑の建立式典を開催していますが、チャモロ人の遺構はほかにも複数見つかっていて、今後同じように対応するかは不透明です。

グアム大学 リサリンダ・ナティヴィダッド教授
「彼らの遺骨が冒涜されることは文化的な面でも、尊敬の念を体現する面でも、非常に大きな問題なのです。水の汚染 土の汚染 空の汚染、米軍はすべてを否定するでしょう。それが彼らのやり方です。しかし私たちには子どもたちや次の世代に正しいと思うことをやって示す責任があります」

こう話すのは、自身もチャモロ人であるグアム大学のリサリンダ・ナティヴィダッド教授。ナティヴィダッド教授は、海兵隊の移転がもたらす様々な問題に対して沖縄と連携した取り組みが重要だと訴えます。

ナティヴィダッド教授「私たちは皆『真の平和と安全』という共通のビジョンを持っています。子どもたちや地域社会が繁栄できる社会を作るため、沖縄の人々と腕を組み、平和のために共に取り組みます」

より良い経済、残したい自然と文化。グアムでは、これからも未来への模索が続きます。