青森県外で活躍する青森県民を紹介するターニングポイント。人生の転機となったその時、どんな思いや決意があったのでしょうか。今日のストーリーは青森市出身の朗読家・中村雅子さん。

現在、太宰治作品に津軽弁を交えて読む朗読スタイルで東京を中心に各地で講演を行っている。幼い頃から中村は親の言うことを聞く素直な子供だった。

中村「よくそのまま言われたらはいという感じであんまり逆らわないというか、親の言うことを聞いてれば間違いないってちょっと自分でも途中までは思ってたような気がします」

教師だった両親の敷いたレールに乗り、勉学に励み、教師や公務員などを目指して第2志望だった東京の大学に進学。しかし、思っていた以上に都会はとても魅力的で将来への選択肢が増えていった。

■第2志望校に進学 湧き出た夢

中村「第1希望だった大学落ちて。全然違うところを狙っていて、それが駄目で。それで私立の大学、東京になったんですけど。全くの一人暮らしになって全部自分でしなくてはいけないっていう、いろんな意味でガラリと環境が変わったことで、自分自身もしっかりいろんなことを考えていかなくちゃいけないなというふうに
思うようになったんだと思います」

知り合いに頼まれて手伝ったウグイス嬢がきっかけで、アナウンサーという夢を持つ。親に対して初めての反抗であったが、無事に合格しアナウンサーという職に就いた。

中村「嬉しかったと同時にはっきり覚えてるのは画面に自分の顔をさらけ出して
皆様に語りかけることの責任というか、それをものすごく感じたことを覚えていて。言葉遣いを磨くのはもちろんなんですけれど、自分自身という人間も磨いていかないとこれはいけないなっていうふうに1年目のときに思ったのを覚えています」

アナウンサーとして伝えることの難しさを実感しながらも、仕事で実績を重ねていった。入社から5年後、仕事で出会ったプロ棋士・中村修九段と結婚。妻や母として人生の中で見つけたのは新たな伝える仕事だった。

■朗読家・幸田弘子との出会い

中村「朗読をきちんと学びたいと思うようになった時に、これはちゃんとした師匠につかなくてはいけないと思ったんですね。そのときに浮かんだのは幸田弘子さん(日本の女優・声優・朗読家)の朗読。この方に習いたいなって思って、そこで初めてチケットを取って舞台を拝見したんです。そうしたらもう雷に打たれたような衝撃で、もう席から立ち上がることができないぐらい感動したんです。こんなに朗読ってすごいものなのって、やっぱりこの先生につきたいって思った」

とにかく師匠や兄弟子の朗読を見て勉強した。今までのアナウンサー口調が邪魔に感じることもあった。そこで自分の良さを発揮できたのが津軽弁の朗読だった。

中村「魂を一音一音に込める。そういう思いで語ってます」

中村の朗読は青森への思いを込めた言霊。

中村「もっともっといろんなところで青森はいいよっていうこと朗読を通してですけど、伝えていけたらなっていうふうに思っています。集中しているときは至福のときかも知れない」