新型コロナに感染し回復してからも症状が残る、いわゆる「コロナ後遺症」に悩まされる人は多いといいます。「コロナ後遺症外来」を取材しました。

(愛知医科大学メディカルセンター 馬場研二教授)
「今、困っているのは、どんな症状ですか?」

愛知医科大学メディカルセンターの馬場研二教授。2021年4月から、これまでに「コロナ後遺症外来」で800人以上の患者を診察してきました。

(20代・男性会社員)
「けん怠感…、あと、ちょっと寝付きが悪い」

1月27日に「コロナ後遺症外来」を初めて訪れた20代の男性会社員は、2022年8月下旬に新型コロナに感染。症状は39度ほどの発熱のみだったということですが、熱が収まると全身のけん怠感に襲われ夜、眠れない日が続き、翌月には会社を休職しました。

(愛知医科大学メディカルセンター 馬場研二教授)
「コロナの後遺症として、けん怠感とか眠りが浅いとか、よくある症状のひとつですね」

WHO=世界保健機関が定義する「コロナ後遺症」とは「新型コロナ感染後、少なくとも2か月以上続いているもので、他の疾患による症状として説明がつかないもの」です。

(愛知医科大学メディカルセンター 馬場研二教授)
「けん怠感・頭痛・めまい・喉の不快感。オミクロン株以降で感染した患者に多い。逆に味覚・嗅覚障害は少ない」

馬場教授は「コロナ後遺症」は女性や肥満の人、また基礎疾患がある人に起きやすいという報告もあるといいますが、その実態はまだはっきりとは分かっていないと話します。

こちらも初診の50代の女性です。

(50代女性)
「足が痛くて、普通に歩けない」

女性は、2022年8月に感染後、おしりから両足全体にかけて、常に筋肉痛のような痛みがあると言います。

(50代女性)
「日常生活は普通に歩けないので、よちよち歩きという感じ。仕事も動き回る仕事だったので、元の仕事には戻れていない」

症状は悪くなる一方だといいます。女性は当初、整形外科に駆け込んだそうですが、病院からは「原因がわかないので、コロナ後遺症ではないか」と指摘され、馬場教授の下を訪ねました。

(愛知医科大学メディカルセンター 馬場研二教授)
「まあ、いわゆるコロナ後遺症だと考えていいでしょうね」

(50代女性)
「今まで、ずっと原因不明だったので。(診断が出て)治っていくと思いますよと言われて、少しホッとした」

馬場教授によると、コロナウイルスによって筋肉や神経が障害を受けたことや、活性化した免疫が障害を起こしていることなどが原因として考えられるということで、時間の経過とともに良くなっていくのではといいます。

それでも、原因不明の症状に不安を抱える患者は多く、受診希望者は後を絶たず、予約は3か月待ちの状態。完全予約制で初診は1枠30分の問診時間を確保し対応しています。

(愛知医科大学メディカルセンター 馬場研二教授)
「後遺症になる割合は、デルタ株以前(の初期の段階)に感染した患者に比べると減っている可能性がある」

馬場教授が、これまで診察したコロナ患者を分析すると、2020年の第3波では感染後1か月の時点で、何らかの症状が残り体調不良を抱えていた人が約55パーセント、さらに感染後半年が経過しても後遺症状を訴えていたのは約17パーセントだったそうです。しかし…。

(愛知医科大学メディカルセンター 馬場研二教授)
「割合は減っていても(感染者が増えて)分母は増えているので、後遺症にかかる患者の絶対数は相変わらず多い」

では、ワクチン接種について、馬場教授は。

(愛知医科大学メディカルセンター 馬場研二教授)
「ワクチンを打つことによる後遺症の発症リスクは低くなると考えていいと思う。ワクチンを打つのは、後遺症に関しても、いいのではないかと思う」

コロナ後遺症については分からないことが多く、未だ明確な治療法はありません。医療機関では手探りの状態が続いています。