厚生労働省の専門部会は27日、妊娠を中絶するための「飲み薬」について承認することを認める意見をとりまとめました。早ければ今年の春にも正式に承認される可能性があります。

国内初「飲む中絶薬」の承認を了承 現状日本は手術のみ

久保田智子 編集長:
国内初の「飲む中絶薬」を厚労省の専門部会が承認を了承したということですが、どんな薬かというと、イギリスの製薬会社が開発した「メフィーゴパック」と呼れる薬で、“飲む”ことで妊娠の継続を止める働きがあるとされています。

対象:妊娠9週までの人
海外:現在80以上の国と地域で使用

海外では30年以上前から使用が始まり、日本は早ければこの春にも正式承認の可能性があるということです。

現状、日本の人工妊娠中絶は約12万6000件(2021年度)。すべて手術によって行われています。大きく2つあります。
▼「掻爬法」…金属の器具などでかきだす手術
▼「吸引法」…器械で吸い出す手術

山本恵里伽キャスター:
聞いたことはありますが、改めて「かきだす」という言葉を聞くとシンプルに「怖いな」と感じてしまいます。

久保田 編集長:
WHOは「掻爬法」を推奨しておらず、「吸引法」か薬に切り替えるべきだと指摘しています。

「負担の少ない方法が広まってほしい」 服用後にフォローできる体制も必要

手術をすることで、どんな負担があるのでしょうか。20歳の時に中絶する手術を受けた、染矢明日香さんにお話しを聞きました。

染矢明日香さん
「経済的にすごく困窮しちゃうんじゃないかっていうところが心配で、やっぱり今は産むタイミングじゃないなと。前日に子宮の入口を広げる処置をしないといけなくて。人によって個人差があると思うんですけど私は涙が出るくらい痛くて、お腹をおさえながら呻きながら帰ったというのを覚えてます」

久保田 編集長:
染矢さんは「当時者にとって負担の少ない方法が広まってほしい」とお話されていました。

小川彩佳キャスター:
お腹の負担に加えて、手術の経過を後に思い出してフラッシュバックしてしまう、PTSDを発症する方もいる…心身共に大変な負担が伴いますね。

久保田編集長:
育良クリニックの産婦人科医・浦野晃義院長に話を伺ったところ…

・飲む中絶薬によって手術より身体的な負担は減るのではないか
・一定数の大量出血や感染症などが言われているので、しっかりとフォローできる体制が必要

中絶というと、どうしても主語が女性ばかりになるのですが、どう感じますか?

喜入友浩キャスター:
負担が減るとはいえ、女性の心身に負担がかかるということを改めて心に留めておきたい。
また避妊についても、一連でもう一度考え直したいと思いました。

久保田 編集長:
やはり女性だけでなく、いろんな方が考えるきっかけになるといいなと思います。