東京・足立区で乗用車が歩行者をはね、11人が死傷したひき逃げ事件で、トラックに追突した現場に事故を起こした車のブレーキ痕がなかったことがわかりました。法定速度を超えるスピードで事故を起こした可能性があるということです。

きのう、東京・足立区の国道で車が歩行者をはねるなどして男女11人が死傷したひき逃げ事件。80代の男性が死亡し、20代の女性が心肺停止の状態となっています。

その後の捜査関係者への取材で、現場に事故を起こした車のブレーキ痕がなかったことがわかりました。車はどのような運転をしていたのでしょうか。

事故直前、現場の100メートル手前を映した防犯カメラ映像。画面右から事故を起こした白い車が。この後ろには、パトカーがあとを追う様子も。周りの車と比べると、白い車はかなりスピードが出ているように見えます。

この後、車は横断歩道で20代の女性をはねます。車はさらに進み、歩道に。100メートルほど走り、歩行者を次々にはね、再び車道へ。この時の車のスピードについて、目撃者は…

目撃した人
「白い車が歩道に上がって、また道路に出た感じですね。暴走…もう本当に速かったです」

そして、トラックなどに追突し、停車しました。乗っていた男はドアを開け、走り去っていきます。捜査関係者によりますと、この一連の走行の際に車は加速していたということです。

この死亡ひき逃げ事件が起きるおよそ2時間前に、現場近くの自動車販売店で事件を起こした車を盗んだとして、警視庁は足立区に住む37歳の男を逮捕。

男が事件を起こした車を運転していたとみていますが、その後の捜査関係者への取材で、男がわずか2分ほどの時間で車を盗んでいたことがわかりました。車内にはスマートキーが置かれたままで、運転できる状態だったということです。

男(37)
「神奈川県内の山の方へ行きたいと思っていた」

車を盗んだ動機について、こう供述しているという男。これまでに2回、「車がほしい」と言ってこの販売店を訪れたことがあるということです。

警視庁は男の刑事責任能力を慎重に判断する必要があるとして、男の氏名を明らかにしていませんが、当時の状況などを詳しく調べています。