“経済の体温計”とも言われる長期金利。約30年ぶりに3%の大台を突破したのですが、それによる私たちの生活への影響はあるのでしょうか。
そして、国債の新たな「買い手」として実は今、私たち国民が注目されているようです。

■長期金利 “約3%の世界” 「通過点」にすぎない?

高柳光希キャスター:
長期金利が約30年ぶりに3%の大台を突破しました。

そもそも「国債」とは、日本政府が資金調達のために発行する債券で、証明書のようなものです。国債を購入するのは銀行や生命保険会社などで、国に対してお金を貸すことを意味しています。

国は一定期間借りたお金に上乗せして返しますが、その“上乗せ分”が「長期金利」と呼ばれています。例えば、「100万円を借りて、103万円で返した」場合、金利が3%なので差額の「3万」が利息になります。

国は2016年以降、「マイナス金利政策」で金利を下げていましたが、2024年の3月に解除されて以降、急激に上がってきていて、2日には3.015%となっています。

TBS報道局 経済部 出野陽佳 記者:
金利が急に上がった要因は主に2つあります。

1つ目は、財政悪化への懸念です。8月末に締め切られた2027年度の予算編成に向けた概算要求の総額は過去最大になる見通しです。そのため、財政への警戒感が根強い状態が続いています。

投資家からすれば、そのようなところにお金を貸すのであれば、より高い金利を求めるという状態になっています。

2つ目は、日米の中央銀行の動向です。物価上昇の圧力が強い状態のため、日本やアメリカも利上げを続けていくのではないかという市場の見方が強くなっています。よって、「金利が上がってリターンが高くなっていくのであれば、まだ買い時ではない」という、投資家の積極的な買いは見られにくくなっています。

気になるのが、今後どうなるかということですが、岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストによると、「3%は通過点」だと述べていました。

ここまで金利が高くなっても積極的な需要が見られず、「財政悪化の懸念」「中央銀行の動向」の2つの要素が解消されないうちは、上昇基調が続いていくのではないかという見解でした。

■住宅ローンに給料も…生活への影響は?

会社経営者・投資家 池澤摩耶さん:
金利が上がることは決して悪いことではないため、やっと日本にも金利がある世界が戻ってきたなという感覚がしています。しかし、「なぜ金利が上がっているのか」という原因をきちんと考えないと少し危ないと思います。

なぜなら、財政悪化が懸念されているためです。経済の成長に伴って金利が上昇しているのであれば、経済の活性化につながります。しかし今回は、岡三証券の長谷川ストラテジストも「3%は通過点」と言っているため、良い上がり方ではないと思います。

今の金利でも、まだ債券を買う人がいないということなので、少し怖いです。

井上貴博キャスター:
政府ができることとしては、政策を変えることなのか、日銀の独立性を担保することなのか、何をするのが良いのでしょうか?

会社経営者・投資家 池澤摩耶さん:
とにかく経済成長を金利に合わせる、あるいは経済成長を金利に追いつかせることだと思います。これができるかどうか、今はかなり勝負の時だと思います。

先に金利が高くなってしまったため、そこに成長を追いつけていかないと良くないのではないでしょうか。

高柳キャスター:
このような金利の上昇によって、私たちの暮らしに様々な影響が出てきます。

メリットとしては預金をしていたり、個人向け国債を購入したりした場合には、金利上昇が期待できます。

一方、デメリットは住宅ローンの金利が上昇することや、企業などの借り入れの負担も増えることが挙げられます。企業などの借り入れの負担が増加した場合、例えば、給料やボーナスの伸び悩みに雇用の冷え込みといった課題が生じるおそれがあります。

住宅ローンを組んでいる世代などは、金利上昇によって生じる負担が大きく、デメリットが大きくなる可能性があります。

■“新たな買い手”は私たち? 個人向け国債を「新NISAの対象」に検討か

高柳キャスター:
“国債の買い手不足”状態のため、新たな買い手の確保が課題となっています。そこで政府は、個人向け国債を新NISAの対象にすることを検討しています。

この非課税枠で買えるNISAの対象になるということに関して、どのような意見があるのでしょうか。

TBS報道局 経済部 出野記者:
まず、もともと日銀が非常に多くの国債を買っていたところを今買う金額を減らしているということが、新しい買い手の確保が課題の背景にあります。

NISAの組み入れには様々な論点があります。現在は税収で政策に使う費用を全部賄えるという状態ではないのですが、このような中でより国債を買ってもらうために減税や非課税をするとなると、結果的に減税分を穴埋めするための国債の発行につながるため、本末転倒になります。

他の課題として、例えば国債を買う動機付けを強くした場合、今銀行でたくさん預金をしている人がお金をNISAにシフトすることが挙げられます。そうすると、銀行の貸す力が次第に弱くなる懸念があるため、もう少し全体的な視点を持って議論が進められることを期待しています。

他にも様々な課題があるため、年末に向けて課題の整理や、具体的な制度設計について議論が進むものと見ています。

井上キャスター:
そもそも日本人は銀行預金に頼りすぎているため、もう少し運用に流しましょうというのが政府の考え方だと思います。現在、株がこれだけ上がっていて、投資信託もある中で国債の買い手はいるのかなと疑問はあります。

会社経営者・投資家 池澤摩耶さん:
選択肢が増えることはいいと思います。今まで全く投資をしていなかった人たちが「国債ならば安全だろう」と思って買い始めるのはいいと思います。ただ、せっかくの非課税枠という限られた中で、わざわざ国債に投資する必要はないのではないでしょうか。

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<プロフィール>
出野陽佳
TBS報道局 経済部 日銀/金融担当
金利3%の世界は未経験

池澤摩耶
会社経営者・投資家
元外資系投資銀行のトレーダー 2児の母
著書に「子どもを人生ゲームの勝者にする最強マネー教育」など