原子核時計とは何か
私たちの日常生活を支える時刻は、原子の電子遷移を利用した「原子時計」によって高い精度で維持されています。通信やGPS測位、科学実験など、現代社会のさまざまな基盤技術に欠かせない存在です。
その原子時計をさらに超える精度を目指す次世代の時計として、「原子核時計」が注目を集めています。原子時計が原子の電子の遷移を利用するのに対し、原子核時計は原子の中心にある原子核の遷移を利用します。
原子核は周囲の原子からの影響を受けにくいため、多数の原子が存在する固体中に埋め込んだ状態でも時計として利用できる点が大きな特長です。
なかでも原子番号90の元素トリウムの同位体であるトリウム229は、既知の原子核の中で例外的に低いエネルギーで励起できる原子核として知られており、レーザーで直接励起できる唯一の原子核です。近年、トリウム229原子核のレーザー励起が達成され、実際に原子核時計として利用できることが示されました。














