先週末、大雨による土砂崩れで2人が亡くなった栃木県足利市。市が避難指示を出したのは、避難の目安となる「レベル4土砂災害危険警報」の発表から、5時間半余りが経ってからでした。対応は適切だったのか市長が説明しました。

記者
「足利市内の緊急のごみ置き場です。大雨の影響で、濡れてしまった家具などが大量に置かれています」

記録的大雨から4日が経ったきょう、足利市内には、流れ込んだ土砂や泥水が残り、流されたとみられる車が橋の下に放置されていました。

雨が激しくなったのは17日の夕方。午後5時ごろには市内の道路が冠水する様子も。

こちらの住民の自宅の前も水に浸かりました。

近隣住民
「ぐちゃぐちゃだったんですよね。5時前だったんですよね。ちょっと早かった」

こうした状況を受け、気象庁は、午後4時34分にレベル3「土砂災害警報」、そして午後5時13分には避難の目安となるレベル4の「危険警報」を出します。

国のガイドラインでは、自治体は「警報」が出たら「高齢者等避難」、「危険警報」の場合は「避難指示」を出すのが相当とされています。

ただ、市が避難指示を出したのは「危険警報」の発表から5時間半余りが経過した午後10時50分でした。その頃には…

近隣住民
「ちょっとこれは危ないかなと思った瞬間には、結局、車も水没しちゃって、全部湖みたいになっちゃいました。(避難は)そのときは考えられなかったですね」

実は、市が避難指示を出すおよそ1時間前には既に土砂崩れで住宅が巻き込まれていました。永浜正夫(65)さんと妻の典子さん(66)が亡くなりました。

一方、足利市の隣にある群馬県太田市は、異なる対応をとりました。

午後3時過ぎに避難所開設の準備をはじめ、午後4時55分、太田市にレベル4「土砂災害危険警報」が出た段階で、避難指示を出すことを決定。気象庁が公開している土砂災害の危険度を示すデータを参照し、紫色のレベル4の危険がある地域を避難指示の対象に決めます。

そして、午後5時22分に避難指示を出しました。足利市と比べると、早い対応だったことがわかります。

足利市長はきょう…

足利市 早川尚秀 市長
「レベル3・レベル4が出た時点では道路冠水がすでにあちこちで起きていて、そのタイミングで避難指示を出すと、避難所へ向かう途中に危険が発生してしまう」

2019年の台風19号で、市内の女性が避難の最中に氾濫した川の水に流されて死亡したことを踏まえたといいます。

専門家は…

東京大学 関谷直也 教授
「早めの避難指示を出しておくべきだったというのは一つの考え方かもしれません。(自治体の判断は)非常に難しいと思います。早めに広めに(避難を)呼びかけるというのは簡単です。けれどそれをやっていると多くの人は避難をしなくなってしまいますし、本当に必要な人たちに呼びかけられなくなってしまいます」

足利市 早川尚秀 市長
「結果として、現実として、2人の命が失われてしまったということからすれば、もっとできることがあったんではないかと私としては考えなくちゃいけない」

市は今後、今回の対応について検証していく方針です。