陸上・十種競技の右代啓祐(39、国士舘クラブ )が8日、『陸上十種競技からの卒業とこれからのチャレンジ』と題し、都内で記者会見を開いた。前日本記録保持者の右代は、オリンピック2回、世界陸上5回に出場するなど長年にわたり十種競技界を牽引。今回、十種競技の第一線から退き、現役選手として円盤投げで新たな挑戦へ向かうことへの気持ちを表明した。

会見冒頭「私、右代啓祐は、20年間続けてきた十種競技をですね、今年の日本選手権を一つ節目として卒業するということを決断いたしました」と明かすと、「20年間十種競技をやってきて、自分の中ではもう本当にやりきった、本当に気持ちよく十種競技を終えることができたなというところでいます」と競技人生を振り返った。

十種競技で日本記録を丸山優真(28)に塗り替えられたことに「寂しさはあるんですけど、丸山選手に塗り替えられるのは望んでいたことだから、光栄だなと。その瞬間、嬉しくも思いましたね」と心境を語り、「3、4年前かな?一緒に食事したことがあって、これから君が十種競技を引っ張っていくんだよ!っていうことだけを伝えたいがためにセッティングした食事会っていうのがあって。そういったことも自分の中では記録を更新してほしいとか、これから日本の十種競技を引っ張ってもらいたい選手に記録を超えてもらえたっていうのは、嬉しいことかなという風に思うんで。そういったものに引っ張られたわけではないけど、役目一つ終わったなっていうのはその瞬間も感じた部分はありますね」と回顧した。

しかし「十種競技からは卒業ということなんですけれども、諦めが悪いのかもしれません。まだちょっと自分を伸ばしたいなという気持ちもあって、この十種というところから一つの種目に絞って、投擲種目の円盤投でもう一回自己ベストを狙えるんじゃないかな」とまさかの現役続行宣言。「自分の中で期待している部分もありますし、自己記録更新ができるということを確信してる部分もあるんですけれども、引き続き現役は続行というか、何か世の中に伝えられるものはないかという部分と、自分自身を高め続けることの大切さみたいなものを探しに行く旅にまた出かけていきます」と話す。今季ベストは43m15、自己ベストは2014年にマークしている50m17。

円盤投を選んだ理由について「一番やりごたえがある種目の円盤投を選択しました。スパっと辞める選手も世の中に居ると思うんですけど、いまだにこの手ごたえを十種の中で一番感じている」と明かした。「自己ベストって過去の自分の記録だと思うんですけど、この過去の自分に勝つっていうことが、一つゴールになるかなと思ってます。そこの先に日本選手権という、50mが今年は日本選手権の標準とかだったと思うんですけど、そのぐらいの記録が出れば日本選手権も出れるのかなと。1cmでも自分を超えられるっていうことが自分のチャレンジになるかなと。自己ベストがもうしばらく出てないんで、そういう形で終えたいなっていうのがあります」と新たな挑戦への決意を語った。


【右代啓祐(うしろ・けいすけ)】
1986年7月24日生まれ、北海道出身の39歳 。196cm 95kgの恵まれた体格を生かし、10年以上もの間トップ選手として君臨する十種競技の第一人者。大学から十種競技に取り組み、全日本選手権8回優勝。翌2011年、18年ぶりの日本記録更新(日本人初の8000点オーバー)して自身初となる世界陸上出場。2012年には48年ぶりとなる日本人選手として五輪初出場。2014年・2018年アジア大会では金メダルを獲得。現在は、国内主要大会に出場する現役選手として日々鍛錬する傍ら、母校の国士舘大学では陸上部の指導、准教授として教壇にも立ち、アスリートとしての陸上競技の競技力向上・普及活動にも注力している。