静岡県熱海市伊豆山で28人が犠牲になった土石流災害は2026年7月3日、発生から5年となりました。
土石流の起点にあった土地から崩落した違法な盛り土が被害を拡大させたと指摘される中、刑事、民事でいずれも責任の所在は明らかになっていません。
被災地では復旧復興に向けた工事が続いていますが、避難先から帰還する人が少なく、地域コミュニティーの維持が課題になっています。
熱海市伊豆山の大規模土石流災害は、2021年7月3日午前10時28分頃に発生。5万5000立方メートル、25メートルプールの換算で100杯以上に及ぶ大量の土砂が伊豆山地区の逢初川を流れ下り、住宅街を飲み込みました。
発災後に明らかになったのが、土石流の起点にあった違法な盛り土の存在でした。
この盛り土の造成は2007年、前の土地所有者が代表を務める不動産会社が別荘地を造成する目的で申請。その後、盛り土は許可された高さ15メートルを大幅に超え、約50メートルにまで積み上げられました。
盛り土があった土地の前所有者は「別の業者に土地を貸しただけ」などと盛り土の施工業者の責任に言及し、自身の関与を否定しています。
土石流が発生する前の2011年、この土地を取得した現在の所有者も「不動産会社が土砂を積まなければ防げた。熱海市や県が阻止したら事故は起きなかった」と主張します。
静岡県警が関係者を事情聴取するなどして捜査を続けています。
遺族や自宅を失った被災者は、違法な盛り土の造成や管理責任を怠ったとして、前と現在の土地所有者、そして熱海市長を刑事告訴。多額の損害賠償を求める民事訴訟も起こしました。
土石流から5年がたってもなお、遺族の悲しみは癒えていません。小磯洋子さん(76)は、娘の西澤友紀さん(享年44)を亡くしました。
2026年3月に行われた裁判の証人尋問で、小磯さんは火葬場で友紀さんの「骨のかけらを拾って食べた」と初めて打ち明けました。
小磯さんは、「この子と一つになれるには、どうしたらよいかと思ったときに、私が産んだのだから、また私の体に戻して、またいつの時代にか生まれ変わってきてくれたらいいなと思って」とも語ります。
熱海市と静岡県が逢初川沿いの被災地で計画する復旧復興の事業も道半ばです。
道路の拡幅や河川の整備を行い、2026年度末に復旧工事を終える計画でしたが、一部の用地買収が進まず、既存の道路を使った暫定の復旧計画に舵を切りました。
熱海市は土石流の影響で被災地の一帯を一時、立ち入り禁止の「警戒区域」に設定しました。自宅から避難を余儀なくされた132世帯のうち、この旧警戒区域で生活を再建したのは、この5年間でわずか29世帯にとどまっています。














