結婚というものは
ジューンブライドに引っかけて結婚の話題を取り上げましたが、どちらかというと「結婚しない」風潮が強まる様を確かめた感じです。
そもそも、赤の他人が生活を共にするのが結婚。一緒に暮らして初めて気づく相手の知られざる一面に驚いたり、怒ったり。衝突と和解を繰り返しながら、だんだん慣れて気にもならなくなったら、ようやく家族の間柄。こんなに手間と時間がかかるのに、必ず幸せになるとは限らないなら、よほどの何かがないと結婚なんかしないだろう、という気がします。
しかし、そこは深く考えず結婚するのが当たり前だった昔は、「男は仕事、女は家庭」という性別役割が強烈で、OLが寿退社で専業主婦になるのも当たり前。
その後、1985年の男女雇用機会均等法成立などを背景に、仕事をし続ける女性も増加。そうした女性が結婚や出産に臨んで「仕事か、家庭か」の選択を迫られる状況も増加。
昨今は、女性だけ選択を迫られるのはおかしいと、男性の育休取得も活発化。とはいえ、女性が(そして男性も)希望通りのワーク・ライフ・バランスを手にするには、まだまだ道のりが遠そう。
そんなこんなを目の当たりにして、いわゆる「結婚適齢期」の若者は「別に急いで結婚しなくていいんじゃない?」と思っているのでは。
未婚率を高める方向のコーホート効果が、91~95年生まれ男性で高いのもそうですが、96~00年生まれ女性でさらに高いのは、未だに女性が「仕事か、家庭か」の選択を迫られがちな状況の反映なのかも。
ジューンブライドも西洋の言い伝えでしたが、別の西洋のことわざを引いて締めくくりにします(大修館書店『世界ことわざ大事典』)。
● あわてて結婚して、ゆっくり後悔すべし(イギリスのことわざ)
● 結婚するはよし、独身でありつづけるは、なおよし(ドイツのことわざ)
注1:届出月別の婚姻件数など人口動態統計の詳細な結果は、「政府統計の総合窓口(e-Stat)」で入手できます。ちなみに、2024年に最も婚姻件数が多かった月は3月(55,689件)で、次が11月(52,596件)でした。
注2:TBS総合嗜好調査は、衣食住から趣味レジャー、人物・企業から、ものの考え方や行動まで、ありとあらゆる領域の「好きなもの」を調べる質問紙調査です。TBSテレビが、東京地区(1975年以降)と阪神地区(1979年以降)で毎年10月に実施し、対象者年齢は、1975年が18~59歳、76~2004年が13~59歳、05~13年が13~69歳、14年以降は13~74歳となっています。
注3:分析の基となるコーホート表は「東京地区」「20~59歳の5歳刻み」「1985年から5年ごと」のデータで男女別に作成しました。また、本稿では朝野(2012)で紹介されている「パラメータの簡易推定法」で計算を行いました。
注4:コーホート効果で、男性の左端(1926~30年生まれ)の結婚忌避感もマイナス方向に突出しています。これがデータの少なさによる推定精度の劣化、いわゆる「端の効果」(朝野、2012)なのか、戦時中に思春期だった男性の結婚への憧れなのかは、もっと検討しないと何ともいえません。
注5:データの変動全体を100%としたとき、3つの効果が占める割合(パラメータの分散の構成比)は「年齢効果・時代効果・コーホート効果」の順に、「未婚」は男性が60%・13%・27%、女性が58%・16%・25%でした。一方、「結婚忌避感」は男性が23%・44%・34%、女性が18%・48%・34%でした。数値は小数第一位を四捨五入しており、合計が100%にならない場合があります。
引用・参考文献
● 松村一男・森雅子・沖田瑞穂(編)(2015)「ユノ(ユーノー)」『世界女神大事典』原書房 pp.329-330.
● 厚生労働省 人口動態調査.
● 柴田武・谷川俊太郎・矢川澄子(編)(1995)『世界ことわざ大事典』大修館書店.
● 朝野煕彦(2012)『マーケティング・リサーチ ―プロになるための7つのヒント』講談社.
〈執筆者略歴〉
江利川 滋(えりかわ・しげる)
1968年生。1996年TBS入社。
視聴率データ分析や生活者調査に長く従事。テレビ営業も経験しつつ、現在は法務・コンプライアンス方面を主務に、マーケティング&データ戦略局も兼務。
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。














