図鑑に「能登のトキはいなくなった」、3年がかりで生息を証明

18歳で陸軍の志願兵となり、太平洋戦争へ。終戦後にふるさとに戻ると、あの美しい鳥は大幅に数を減らしていました。ある日、図鑑に書かれた「能登半島のトキはいなくなった」という一文が、村本さんを突き動かします。

村本義雄さん「これ、大変なこと書いてある。まだそのとき、8羽のトキをいつも見とった。この学者の書いた図鑑が間違っていると思った。生き残っているというのを証明するために、私は3年がかりでこのトキの撮影にかかった」

村本さんが撮影に成功したトキ

今から70年前、当時31歳だった村本さんは、羽咋市の眉丈山で1羽のトキの撮影に成功。能登にトキが生息していることを証明した、貴重な資料となりました。

トキの学名は「ニッポニアニッポン」。朱色がかったピンク色の翼が特徴です。しかし、日本が高度経済成長期を迎えると、農薬の普及で餌場が減少し、美しい羽は乱獲の対象となり、その数は激減します。当時、農林省の食糧事務所に勤めていた村本さんは、仕事の傍ら山に通い、その生態を追い続ける日々を送りました。

村本義雄さん「トキの習性から食性、何を食べているか、どんな生活をしてるかということを、徹底的に調べないことには満足できなかったんです。トキと恋をしたようなもんで、家族より何よりトキに惚れ込んでしまったわけですね」