かつて和ハッカ(ニホンハッカの通称)の生産量が、世界の約7割を占めていた北海道オホーツク地方。

今でも国内生産量の95%を生産している滝上町で、ハッカ産業を盛り上げて、町を活性化させようという取り組み「薄荷(ハッカ)ソン」が始まりました。

和ハッカ畑の除草をする参加者たち(6月14日・北海道滝上町)

6月14日の滝上町。気持ちの良い青空の下で、少し汗をかきながら和ハッカの畑の雑草を取る人たちがいました。

「ハッカについて知ろう」という町の教育委員会と滝上ふるさと研究会が企画したイベントに参加した人たちです。

イベントは、除草作業を手伝いながらハッカについて学ぶもので地元だけでなく、隣の紋別市や札幌市などの学生らおよそ30人が集まりました。

和ハッカを育てる瀬川博さん(右)

昭和初期には世界の生産量の約7割を占めたオホーツク地方の和ハッカですが、外国産や合成ハッカの流通などで値段が下がり、現在、栽培する農家は数軒のみです。

そうしたなか、滝上町の瀬川博さんの畑では、今でも「ホクト」と「JM23号」という2種類の和ハッカが栽培されています。

「JM23号」は、オホーツクで最後に開発された品種で、世界でもここでしか栽培されていない希少品種です。

JM23号の独特の甘い香りを楽しむ参加者たち

イベントの参加者は、瀬川さんの説明を聞きながら、独特の甘い香りが特徴の「JM23号」の香りを楽しんだり、手作業の多い和ハッカ栽培の苦労を学んだりしました。

今回のイベントのきっかけになったのは、和ハッカの生産地として100年の歴史を持つ滝上町に残る遺構です。

千野家ハッカ釜(提供:日本ナショナルトラスト)

滝上町には、入植以来ハッカ栽培を行ってきた千野家が、昭和初期から昭和50年ごろまで使っていたハッカ釜とハッカ小屋が一体となって現地に残っています。

千野家ハッカ小屋(提供:日本ナショナルトラスト)

ただ千野家のハッカ小屋は長年風雪にさらされ、いつ倒壊してもおかしくない状態のため、「ふるさと研究会」は、何とか保存しようと、財団法人日本ナショナルトラストの支援プログラムの採択を受けて、寄付を募りながら保存活動を行っています(寄付受付は2026年9月まで詳細は日本ナショナルトラストのホームページ参照)。

「薄荷(ハッカ)ソン」をアピールする北海商科大学の学生たち

そして千野家のハッカ小屋を保存するにあたり「ふるさと研究会」は、単に昔の建物を残すだけでなく、和ハッカを通して滝上町の未来につながる財産を作っていこうとしています。この保存活動には北海商科大学(札幌)の学生たちも参加し、「薄荷(ハッカ)ソン」と名付けて、活動を盛り上げています。

報告内容はすぐにホワイトボードに記録してわかりやすく

「薄荷ソン」とはアイデアを形にするIT業界発祥の造語「ハッカソン」と薄荷をかけてたもので、学生たちは、月に1回滝上町を訪れ、「ヨソモノ」視点で、ハッカ産業と地域の課題を見つめ、未来へつながる取り組みを提案することを目指しています。

勉強会のグラフィックレコーディング

「滝上ふるさと研究会」は、今後も毎月1回、瀬川さんの畑で除草作業を手伝いながら、ハッカを学ぶイベントを開催し、収穫期の9月にはハッカの蒸留作業も行います。

滝上町の和ハッカは近年、化粧品の原料として注目を集めているほか、セイコーマートでは「和ミント」という呼び名で多くの商品が開発され、価値も再び高まっています。

育てる人、暮らす人、そして「ヨソモノ」が関わり合って始まった「薄荷(ハッカ)ソン」。

滝上町に吹く新しい風が、地方のまちづくりの新たな形になるかもしれません。