物価の優等生、たまごの価格が過去最高値に上っています。その理由は、過去最悪の被害が出ている鳥インフルエンザです。家計だけではなく、養鶏農家にも大きな危機が迫っています。
ふわふわの半熟たまごにデミグラスソース。50年以上続く、老舗洋食店自慢のオムライスです。店では1日におよそ100個のたまごを使いますが、仕入れ価格は去年よりも2割以上上昇。
ほーむれすとらん わか 若林昭彦店主
「確実に上がっていますね。たまごの価格が上がるのは確かにきついんですけど、なかなか値上げもできず、泣いています。もう飲食店は冬です」
去年7月に一度値上げしましたが、これ以上の値上げはできないといいます。
スーパーでも…
利用客
「(たまごが)200円を超えるってやっぱり高いと思います」
アキダイ 秋葉弘道社長
「たまごの価格、これは過去におそらくない価格帯になってます」
先月のたまごの卸売価格は284円と、過去最高値を更新。円安などによる、えさ代高騰に追い討ちをかけたのが鳥インフルエンザです。今シーズンの殺処分は1000万羽を超え、過去最多に。全国で飼育されるニワトリおよそ1億3700万羽の7%を超えました。
秋葉社長が心配しているのは、生産者の経営危機です。
アキダイ 秋葉弘道社長
「生産者を取り巻く環境が非常に悪い状況、今までずっと。生産者が辞めてしまう、そういうことにつながってしまうんじゃないか」
すでに、えさ代高騰などで養鶏業などの倒産が急増。鳥インフルの殺処分がだめ押しになってしまうおそれがあるといいます。
記者
「現場上空です。たくさんの箱が持ち込まれています」
愛媛県の養鶏農家・冨田さんは去年1月4日、突然、全てを失いました。養鶏場で鳥インフルが発生。鶏15万羽が殺処分されました。
養鶏農家 冨田泰広さん
「(Q.当時について)色がついていない白黒映画を見ているような記憶しかない」
廃業が頭をよぎった冨田さん。続けようと思わせてくれたのは、お客さんの声でした。
買い物客
「生でたまごかけご飯をするのに、ここのたまごがいい」
養鶏農家 冨田泰広さん
「簡単に辞めるとは口に出せない」
冨田さんは、ひなの購入費をクラウドファンディングで募集。再スタートしましたが、今も鳥インフルへの不安が消えることはありません。
養鶏農家 冨田泰広さん
「鶏舎の扉を開けるのが本当に緊張の一瞬」
農水省は「世界的な蔓延によりウイルスに感染している渡鳥が例年より国内で早く見つかり、数も多い。野鳥の間でフンなどを介した感染リスクが高まっている」と分析しています。
鳥インフルは例年春頃まで続くため、生産者にとっては気の休まらない日々が続きます。
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