福島第一原発の事故を受けて、静岡県の浜岡原発が運転を停止してから15年が経ちました。中部電力のデータ不正によって再稼働が遠のく中、「共存共栄」を掲げたまちは岐路に立たされています。
刺身や鍋の高級食材として知られ、“幻の魚”とも呼ばれる「クエ」。静岡県御前崎市では、この魚の養殖に浜岡原発を活用していました。
温水利用研究センター 石神一雄 所長
「こちらは中部電力から送られてくる温水、温排水」
温水利用研究センターでは、原発の発電の際に生じる「温排水」を活用してクエの完全養殖などを行ってきました。しかし…
菅直人 総理(当時)
「全ての原子炉の運転停止を要請致しました」
2011年5月、政府の要請を受けて浜岡原発は運転を停止。温排水の供給も止まりました。
温水利用研究センター 石神一雄 所長
「この15年間は、温排水も来ないので、ボイラーを使っている」
いまはボイラーを使って養殖などを続けていますが、中東情勢の悪化によって重油が高騰しコストがかさんでいます。
原発停止の影響はこんなところにも…。浜岡原発から徒歩5分の位置にあるこちらの民宿は、山菜料理が自慢で原発で働く人たちに人気の宿泊施設でした。
民宿たけゆう 竹田哲矢さん
「僕が小さい時に見た部屋は、押し入れの中に人が寝ていたこともありました。きょうの宿泊予定はゼロです。1週間くらいは予約がない状態」
浜岡原発で働く人の数は多いときは5000人ほどいたものの、いまは3000人ほどに減っています。
民宿たけゆう 竹田哲矢さん
「まさか、こんな15年も引きずるとは誰も考えていなかった」
浜岡原発との「共存共栄」を掲げてきた御前崎市。再稼働を望む声も出ていましたが…
中部電力 林欣吾 社長
「本当に申し訳ございませんでした」
今年1月、中部電力は浜岡原発の安全審査をめぐり地震データを改ざんしていたことを公表。原子力規制委の委員長は「安全規制に対する暴挙」と厳しい言葉で非難しました。
地元住民
「安全だって言われれば信用してきた。すべてが信用できない気持ちになった」
「原発が動かない限りは、このまちはひらけないでしょう。人もだんだん減ってきてるし」
御前崎市の税収は、浜岡原発5号機が営業運転を開始した翌年の2006年度がピーク。2024年度にはおよそ6割にまで減りました。
御前崎市 下村勝 市長
「できるだけ依存という形でなく、共存の形で(お互いが)機能すれば非常に良い」
中部電力のデータ不正によって再稼働が見通せない中、「共存共栄」は遠い道のりです。
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