棚倉町のシンボル、棚倉城跡の北側に佇む「竹の屋」。地元はもちろん、時には遠方からも客が訪れるこの人気店は、3代にわたってその味を守り続けてきました。厨房から響く軽快な鍋の音と食欲をそそる香りが、開店と同時に店内を活気づけます。創業から76年、家族の想いが詰まった老舗の歴史と、未来へと繋がる新たな一歩をご紹介します。

初代の味 継ぎ足しのタレが決め手の「天重」

「竹の屋」の歴史は76年前に始まります。3代目店主の小針信さんの祖父と祖母が、町の大衆食堂として創業しました。当時の看板メニューは、初代の得意料理だった「天重」。大ぶりのエビを贅沢に使ったこの一品は、今なおお店を代表するメニューとして愛されています。

こだわりの衣は、サクッとしているのではなく「シャリッと」上がるような食感が特徴。そして、その味の要となるのが、創業当時から継ぎ足しながら受け継がれてきた秘伝のタレです。

「火にかけることで、タレが鍋で焼けるんですよ。これが、まあ1つの、この味にも加わってると」と信さんは語ります。濃厚な見た目に反し、甘みを抑えたさっぱりとした味わいの中にしっかりとしたコクがあり、プリプリのエビとの相性は抜群です。

2代目の挑戦 フレンチと長崎の風を食卓へ

信さんの父である2代目・武男さんは、初代の味を引き継ぎつつ、自身が得意とする新たなメニューを取り入れ始めました。フレンチの修行を積んだ武男さんは、宴会の予約限定で和洋折衷のコースメニューを提供。中でも「ビーフシチューのパイ包み焼き」は、これを目当てに来る客もいるほどの人気メニューとなりました。

さらに、食堂のメニューにも新しい風を吹き込みます。きっかけは、妻であり信さんの母である順子さんのふるさと、長崎県でした。

「実家に帰ったときに、主人と食べさせてもらって。近所にあるおいしい店があるからって」と順子さんは振り返ります。武男さんは、順子さんの故郷で味わったちゃんぽんに感銘を受け、「ちょっと変わったのが1つやりたいな」と、約50年前に「長崎ちゃんぽん」の提供を開始。当時はまだ珍しいメニューだったそうです。

3代目の継承 今や店の顔となった「長崎ちゃんぽん」

2代目が試行錯誤を重ね、棚倉町の人々の口に合うようにアレンジを加えた長崎ちゃんぽん。今では、訪れる客の7割ほどが注文するという、店の看板メニューになりました。

「いつも来ればちゃんぽんしか頼まないんで」と話す常連客もいるほど、その味は深く浸透しています。人気が出るたびに力が入っていったと語る順子さんは、「今ではちゃんぽん様になりましたけどね」と笑顔を見せます。

その味を今、3代目の信さんが守り続けています。スープは豚骨と鳥白湯をベースに、秘伝の調味料で仕上げられます。麺もこの土地に合った味を追求したオリジナル。父が亡くなり、その味をしっかりと受け継がなければならないという一心で、信さんは厨房に立ち続けています。

4代目へ繋がるバトン 未来へ続く家族の物語

そして、3代目へと受け継がれた味は、さらに4代目へと繋がれようとしています。信さんの息子・嘉泰さんが、7月に店に戻り、後を継ぐ決意を固めたのです。嘉泰さんは東京で、祖父である2代目と同じフレンチの道で修行を積んできました。

息子が同じ道に進むことを一番喜んでいたのは、亡くなった2代目でした。信さんは、父から亡くなる前に言われた「お前がちゃんと仕込めよ」という一言が、今も重く心に響いていると語ります。

嘉泰さんは、「おばあちゃんが喜んでくれるっていうのがうれしいんで。4代目としてやっぱり続けていかないとなって思いではいます」と、決意を語ります。

嘉泰さんは、「おばあちゃんが喜んでくれるっていうのがうれしいんで。4代目としてやっぱり続けていかないとなって思いではいます」と、決意を語ります。

「息子とね、一緒にこう、共にね、やっていけたらいいなって思ってますね」と語る信さんの表情には、未来への希望が満ち溢れていました。

【竹の家 店舗情報】
営業時間:午前11時~午後2時
     午後5時~午後7時
定休日:日曜日

『ステップ』 
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2026年5月14日放送回より)