日本酒離れが進む国内で業界を盛り上げたい!

知識や技術を教わるだけでなく、やがて独立する自分に、新たな酒造りまで任せてくれる辻本店には、感謝しかないと井上さんは話します。一方、辻本店にしてみれば、同じ県内で独立を目指す井上さんは将来の競合相手。それでも後押しするのはなぜなのでしょうか。

(辻本店 辻 総一郎 社長)
「日本酒業界というのは、どちらかというと斜陽産業で年々酒蔵の数も減っていますし、消費量も減っている。そういった中で、やる気のある若者を受け入れるということは大きな刺激になる」

そこには、国内で日本酒離れが進む中、「少しでも業界を盛り上げていきたい」という思いがありました。その一方で、海外では「和食」などとともに日本酒の評価が高まってきています。辻本店では2007年に海外での販売を開始。当初はオランダのみだった販路も現在は22か国に拡大し、売り上げは20倍以上に。去年(2025年)はフランスのコンテストでグランプリを受賞するなど、ブランド化にも成功しています。こうした中で、国内でも需要を高めたいという井上さんのコンセプトは、挑戦しがいのあるものでした。「Ryok」は専門店ではなく、県内のスーパーやコンビニでの販売を予定していて、「酒は好きだが日本酒は飲まない」という層にも手に取ってもらいやすい環境を作りたいといいます。

(辻本店 井上翔太さん)
「期待してもらっているぶん形にして、『井上おってよかったな』と思われるような酒にしたいなと思っています」