現場に残された「ヒント」
キーワードは「DNA」です。
新しいフンや毛が残っていると、そこからクマのDNAが採取できることがあります。
また、出没現場のほかにも、生息数の調査のため山の中にも「ヘアトラップ」(木に体をこすりつけるクマの習性を利用して、クマの毛を採取するもの)を設置するなどして、付着した毛を採取します。
そうして集めたフンや毛などを北海道立総合研究機構に送って、DNAを分析します。
そのデータを地道にため続けて約20年。その数は、500件近くにのぼります。
「500頭もクマがいるのかー!」ということではありません。
出没情報が積み重なると、「そんなにたくさんクマが増えているんだ」と感じてしまいますが、実はその大半は同じクマだったりします。
DNAの強みは、その答え合わせができること。
札幌市や専門家らは、現地調査の段階で、出没場所や見た目の特徴から、「こことここは同じクマかも」と予想を立てますが、蓄積しているDNAと照らし合わせることで、それがより確実なものになっていくんです。
札幌市で、この20年ほどで取れたDNAは約500件ですが、クマごとに仕分けると169個体になります。この数字からは、札幌近郊の山に住むすべてのクマが住宅地に近づいているわけではなく、同じクマによるものが多いということがわかります。
捕獲されたクマや交通事故で死亡したクマからもDNAを取って、過去の出没現場などのDNAと照合します。その結果、自然に死亡したクマも含めて、169頭のうち少なくとも50頭以上が死亡しているとみられています。
そしてDNAが山の中でしか取れていないクマもいるので、すべてが住宅地に出没しているクマではありません。また、札幌で痕跡を残したものの、通り過ぎてほかの地域に移動しているクマもいます。
こうしてデータを積み重ねると、札幌の住宅地に出没しているクマは一部であることがわかり、どこでどんな対策が必要なのか、絞り込んでいくことができます。
これが次の分析や対策に、非常に役に立つんです。














