今、“癒やし”の時間は?――ドラマ『時すでにおスシ!?』で巡らす思いも

佐野さんは、本作のテーマにも通じる思いとして、新生活や環境の変化に戸惑う人々についても、思いを巡らす。子育てを卒業したみなとが第二の人生を歩み始める中で、久しぶりに訪れた“自分の時間”に戸惑う様子も描かれる。

効率や正しさが優先されがちな現代社会において、「自分の思い通りにならないことに、いら立ちやすくなっている気がする」と前置きした上で、「自分自身も、そういうスパイラルにハマることがあります」と吐露する。

そこで、「一度立ち止まって、なぜそう思うのかを考えることが大事なんじゃないか」と語る佐野さんが言葉を重ねるのは、「自分は何がしたいのか、ということ」。「なぜ自分はここにいるのか」と、自分を俯瞰(ふかん)して見つめ直すことが、「自己セラピーみたいなものにつながるのかもしれない」と、心を軽くする“ヒント”も明かしてくれた。

「でも、それができたら苦労しないんですけどね(苦笑)」と素の表情も見せつつ、「結局は自分に言い聞かせているんです」と続ける。

そんな佐野さんにとって、今大切にしている時間の一つが読書だ。「本を読む時間は大きいですね。その向こうを考える時間が、癒やしになっているのかもしれない」と、読書しながら考えを巡らす時間を楽しんでいるという。

本を読む人が減ったとも言われる中で、「でも優れた作家は次々と出てきている」と力を込め、ドラマ作品についても「世代が変わっても面白いと思うものはある」と刺激を受けている。

さらに、鮨を題材とした本作と関わることで、改めて食文化への関心を深めている。「なぜこういう形になったのかを考えるのが面白い」と、その“考察”力を生かし、食の背景をたどることで、「先人たちの足跡が見えてくるような気がする」と、思いを膨らませる。

ドラマ『時すでにおスシ!?』より

長年にわたり第一線で活躍し続けてきた佐野さん。その根底にあるのは、目の前の役や出来事をきっかけに「なぜ」と問い続ける姿勢だ。“鮨アカデミー”に通うダンディで多才な紳士役――。本作での演技にも、そうした“問い”を積み重ねてきた自身の人生が投影されている。