半導体企業「ラピダス」が進出し周辺地域の開発が進む中、北海道苫小牧市のある政策をめぐり、自然保護団体から懸念の声が上がっています。

ラムサール条約に登録されている湿地「ウトナイ湖」に注ぐ美々川。

千歳から苫小牧へ…。ありのままの自然をカヌーで進むと、さまざまな野鳥に出会うことができます。

日本野鳥の会 和歌月里佳レンジャー
「冬場であれば、ハクチョウたちがねぐらをとりに、集まっていたりする」

流域にはオオハクチョウやオジロワシといった希少種の姿も。

ところが、いま、現地の自然保護団体や市民の間で、ある懸念が強まっています。

日本野鳥の会 和歌月里佳レンジャー
「今回の計画が行われてしまうと、こうした河畔林だったり、この周辺の湿原にも影響が出てくる」

美々川が流れる美沢地区の南北約3kmのエリア。
建物の建設が原則禁止されている「市街化調整区域」ですが、苫小牧市は規制を緩和し建設を可能にする方針です。

なぜ開発に道を開くのか…。

きっかけは、隣りの千歳市に進出した半導体企業「ラピダス」です。

貴田岡結衣記者
「国道36号線に面している苫小牧市の美沢地区です。空港やラピダスにも近く、物流の拠点としての活用が検討されています」

苫小牧市が規制緩和を計画している美沢地区は、ラピダス、新千歳空港、産業が集積している苫小牧東部地域までいずれも車で10分以内。

苫小牧市は美沢地区に倉庫の関連企業などの進出を促し、「物流の中継地」として発展させたい考えです。

業者が施設を建設する場合には、自然保護団体などと事前協議を行うことを条件に課します。

苫小牧市未来創造戦略室 栗本崇都市再生担当課長
「自然を重要視しながらも、成長戦略として位置づけていく、どこで落としどころがあるのか、協議して関係者の合意を得らるのか細かくやっていく必要がある」

国内有数の湿地、ウトナイ湖と美々川の周辺にはタンチョウも飛来します。

自然保護団体や専門家は、こうした湿地や河川が全国的にも減少していると指摘。

物流施設の建設による植物の伐採や美々川への排水がウトナイ湖も含めた生態系に大きな影響を及ぼす恐れがあると懸念しています。

日本野鳥の会 和歌月里佳レンジャー
「一度壊したら元に戻せない天然の自然があるので、この重要性はぜひみなさんに知っていただきたい」

経済の活性化と、自然保護をどう両立していくのか。

北海道は4月10日まで美沢地区の規制緩和を含めた「都市計画区域マスタープラン」についてパブリックコメントを募っています。

苫小牧市や北海道の審議会を経て10月にもプランが決定されれば、美沢地区で施設の建設が可能になる見通しです。