線状降水帯が発生するメカニズムを解明するために、気象庁をはじめ、産官学が連携して今年行った集中的な観測で、海面水温によって生じる「前線」が大雨をもたらす積乱雲の発生に大きく影響することなどがわかりました。

気象庁は今年、大学など14の機関と連携して線状降水帯の発生しやすい条件や線状降水帯の内部構造を調べるための高密度な観測を集中的に行い、その取り組みや成果を、きょう開かれた専門家会合で示しました。

主な成果の一つとして、海面水温によって発生する「前線」が下層にある大気の気温に大きな変化を生じさせ、風の収束が強まって大雨をもたらす積乱雲の発生に大きく影響することがわかってきたということです。

また、7月に高知県で発生した線状降水帯について、世界有数の計算能力を持つスーパーコンピューター「富岳」を用い、水平解像度1キロでリアルタイムのシミュレーションを行ったところ、雨の降る様子を実際に近い強さで予測できたということです。ただし、実際に雨が降ったエリアとはずれが生じたほか、広島や紀伊半島などでは過大な予測になったということです。

気象庁は、今後も研究機関と連携しながら線状降水帯の予測精度向上につながる研究を進めるとしています。