近年、全国各地で発生し豪雨災害をもたらしている線状降水帯。その被害を軽減しようと、線状降水帯を形成する積乱雲に、人為的に「雲の種」を投入することで豪雨を制御しようという研究が国内5つの大学の協力で進められています。東北大学の平賀優介助教らは、2014年8月20日に広島市で発生し甚大な被害をもたらした豪雨を対象に、「AOBA」と呼ばれるスーパーコンピューターで線状降水帯を1キロメッシュの高解像度で再現しました。

東北大学のスーパーコンピューター「AOBA」

そのうえで発達中の積乱雲に、大量のドライアイスやヨウ化銀などを人工的に大量に投入する数値シミュレーションを行いました。
平賀助教によると、こうした人為的な操作は「種まき」や「クラウドシーディング」と呼ばれるもので、豪雨災害が起こりそうな場所に大量のクラウドシーディングを行うと、積乱雲の上部にある大雨の材料=水蒸気や過冷却水滴(0℃以下でも凍らずにいる水滴)などが、非常に小さな無数の氷の粒に変化します。このように、雨につながる水蒸気を消費してしまうことで、大雨をもたらすような雨粒の形成を抑制するというわけです。形成された小さな氷の粒は次第に成長しながら風下側に分散していくことがシミュレーションで分かりました。もともと雨量が比較的少なかった線状降水帯の風下側では雨量がやや増えますが、最も雨量が多かった地域の被害は軽減できることになります。