解釈を聞き手に委ねる語り 娘へのバトン
震災の半年後、災害ボランティアたちに話したのをきっかけに、1万人以上に当時の記憶を語り継いできた米沢さん。被災ビルを1階から屋上・煙突まで一緒にまわり、“あの日何があってその都度どう動いたのか”、自分の思いや主張を押し付けず、体験した事実をこと細かく臨場感ある口調で伝えるのが、米沢さんの語りのスタイルです。
「『防災意識が高まった』『つなぐ大切さを感じた』『普段の幸せのかけがえのなさが身にしみた』などと感想もさまざま。話の捉え方が人によって違うのはいいこと」
聞き手に解釈を委ねることで、より実感を持って災害の脅威を吸収してほしい、と考えています。
この15年、あの日の体験を誰よりも多く語り聞かせてきたのが、娘の多恵さんです。「中学生になってからは、その時『何があったか』だけでなく、『どんな気持ちだったか』にも興味を持つようになった」と、娘の成長を実感しています。
父に刺激を受け、多恵さんは「防災士」の資格をとり、自らも語り部になれるように練習を続けています。人前で話すのは苦手という多恵さんですが「風化させず、同じようなことがあった時に、たくさんの人が死んでしまわないようにつないでいきたい」と、目標を見据えています。
「うれしいし、最近では、『自分と同じくらいの歳の子どもには、私がしゃべった方が心に響くでしょ』なんてことも言うんですよ」と少し口角を上げながら話す米沢さん。米沢さんの言葉は、確実に多くの人の胸に届いています。














