長引くコロナ禍で多くの企業が打撃を受ける中、独自の技術で飛躍を遂げる浜松市の企業があります。再び、ノーベル賞貢献へ、さらに磨きのかかった「光技術」とは?
600℃の熱を浴びている大きな電球のようなもの。これは「光電子増倍管」、高感度の光センサーです。
<浜松ホトニクス 第2製造部 永井正太第7部門長>
Q.1日にどれくらい作っている?
「現在は18本です。非常に大きなものなのでなかなか一度に大量生産できない」
1953年創業の浜松ホトニクス。いったい、これだけ大きなものを、何に使うのでしょうか?
<浜松ホトニクス 第2製造部 永井正太第7部門長>
「ハイパーカミオカンデ実験で使用される予定の直径20インチ、50cmの世界最大の光電子増倍管の製造をしている途中」
「ハイパーカミオカンデ」とは、岐阜県飛騨市の地下650mに建設中の宇宙素粒子観測装置です。直径68m、深さ71mの巨大な水槽に、浜松ホトニクス製の光電子増倍管が、約4万本取り付けられる予定です。
この観測実験は、1983年の「カミオカンデ」が始まりです。2002年、宇宙の成り立ちを解明すると言われる素粒子・ニュートリノの観測に成功し、ノーベル物理学賞受賞に貢献。
<浜松ホトニクス 晝馬輝夫社長(当時)>
「ノーベル賞は全て先生方がとってください。我々は産業用の成果をいただきます」
続く「スーパーカミオカンデ」では、ニュートリノに質量があることを証明し、再び日本人のノーベル賞受賞を後押ししました。
<浜松市民>
「先端技術を使った立派な会社」
「浜松の誇りだなと思いますね」
「世界に通用する一流企業」
2027年から実験が始まる「ハイパーカミオカンデ」用の光電子増倍管は、「スーパーカミオカンデ」のものより2倍も感度が高く、世界最大かつ、最高感度の光センサーです。目指しているのは、これまで誰も観測したことのない「陽子崩壊」。陽子には寿命があり、「宇宙には終わりがある」という仮説を裏付けることになるのです。
<浜松ホトニクス 加藤久喜副社長>
「実証できれば、また誰かにノーベル賞を取ってもらえるのかなと思っています」
月面で点灯させた懐中電灯の光を地球上で検知できるほどの高感度。光電子増倍管の用途は、宇宙だけにとどまりません。
<浜松ホトニクス 電子管営業推進部 中村雅樹部長>
「最近ではPCR検査にも非常に多く光電子増倍管が使われています」
コロナ禍で不可欠となったPCR検査。小型の光電子増倍管は、遺伝子を大量に複製し、特殊な薬品をつけると、そこから出てくる光を分析して陽性、陰性の判定をします。
血液中の細胞の色や大きさを分析する装置。細胞に見立てた色のついたボールを入れると、あっという間に色を識別しました。光電子増倍管は、がんやHIV、白血病の早期発見にも役立っています。新型コロナの影響で多くの企業が打撃を受ける中、浜松ホトニクスは黒字経営を続けていて、9月期決算では、過去最高の売上となりました。
<浜松ホトニクス 加藤久喜副社長>
「世界で戦っていくためには常に新しいマーケット、みなさんが欲しがるだろうなというものを先取りしなければいけない。負けない技術を常に開発する。我々が一等賞である」
ノーベル賞学者の御用達企業として、新たな光技術の開発に挑みます。
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