「僕にカメラを向けてくれるのは…」

というのも2025年の1月から密着取材をさせていただいている。この日も、一挙手一投足を逃すまいと、ベンチ横の通路からグラウンドに出てくる根尾投手にカメラを向けた。

「僕にカメラを向けてくれるのは、CBCだけですよ」

これが今の彼の立ち位置。向こうから声をかけてくれる関係になれたことは嬉しい、ただこの言葉は切なくもあった。

「いや、そんなことないですって!」という言葉を返す選択肢はあったのかもしれない。でも、本当に私の小さいカメラしか根尾投手を捉えていなかった。100人以上の報道陣がいたにもかかわらず、彼は視線を集めない。あの甲子園のスターなのに。

私が噓をつけない隙に、背番号30はグラウンドに飛び出していった。