テレビ局には番組を観た視聴者から様々な声が寄せられる。TBSテレビの「視聴者センター」(カスタマーサクセス室所属)は、こうした声を集約し番組制作の現場にフィードバックさせるのが仕事だ。担当者が寄せられた“声”の一端を紹介する。

寒波の到来や政局の動き、そして冬季オリンピックでの熱戦と、目まぐるしくもにぎやかな一か月が過ぎました。視聴者の皆様からは、連日たくさんの「声」が届いています。

まずは、とあるバラエティ番組に寄せられた指摘です。

「美しい料理を作った方を紹介していたナレーションで「張本人」と言っていました。張本人という言葉は悪だくみの首謀者という意味で、悪いことにしか使われません。おかしいですよね?」(70歳以上女性)

文脈としては「ご当人」といったような意味だったのですが、ご指摘の通り、「張本人」は本来、悪事や事件を企てた中心人物、首謀者を指す言葉で、称賛する人に使うのは間違いになります。 実は、同様のご指摘は前にもいただいていました。「メダルを獲得した張本人」といったコメントに、“間違いではないですか?”との声が寄せられたことがあります。日常では無意識に使ってしまいがちかもしれませんが、気をつけなくてはなりませんね。

間違いと言えば、昨年中にご指摘がとても多かったのは「驚異」と「脅威」です。特にバラエティ番組などで、“びっくりするような状況”を意味するのに“脅威”の文字が使われてしまうことがあり、その度にご指摘をいただいていました。

“驚異”は「驚異的な身体能力」のような、ポジティブな事に使うことが多く、“脅威”は「ミサイルの脅威」など、どちらかというとネガティブなことに使われることが多い言葉です。

この違いについては現場とも共有し、注意を呼びかけてきた結果、最近ではこうした間違いもずいぶんと減ってきました。このような「同音異義語」の間違いは、パソコンやスマートフォンの変換機能の影響が大きいのではと思われます。

変換ミスでいうと、意外と散見されるのが「泥試合」という誤字です。

“どろじあい”は、互いに相手の弱点や秘密をあばきたてて醜く争うことを言います。おそらく、“どろ”と“しあい”に分けて入力してしまうことが誤変換の原因だと思われます。“どろじあい”と続けて入力すると、正しい「泥仕合」に変換されるのですが・・・。

道具が優秀になっても、最終的には使う人間の判断が重要ですね。視聴者からこのようなご指摘をいただかないよう、細心の注意を払わなければと改めて思いました。

厳しいご指摘だけでなく、もちろん嬉しいご意見も届いています。 以前放送されていた『ナイナイのお見合い大作戦!』には、出演された方から心温まる感謝のご意見が寄せられました。

「この番組のおかげで今の夫と出会い、2人の子どもにも恵まれて今年で結婚10年目を迎えます。お見合い回転寿司で初めて夫と対面したときに『私はこの人と結婚する』と直感し、結婚した今までずっと幸せに過ごしています。番組がなければ今の生活はありません。10年というひとつの節目には、絶対に感謝を伝えたいと思っていました。本当にありがとうございました」(30代女性)

この番組には、今でも時折“また放送して欲しい”というご要望が届くことがあります。個人情報やプライバシーへの意識が大きく変化してきた昨今、同じような番組を作るのは難しい側面もあります。しかし、こうした感謝の声をいただくことは制作現場にとっては大きな励みだと思います。

そして同時に、テレビ番組は時には視聴者の「人生の歴史の一部」にもなり得るという、大きな責任を改めて認識させられたご意見でした。

〈執筆者略歴〉
浜崎 由佳(はまざき・ゆか)
1995年TBS 入社。
ラジオ局、報道局、事業局などを経て、編成考査局。現在カスタマーサクセス室長。

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。