「成年後見制度」の「保佐人」を付けている人は、警備の仕事に就くことができないと定めた旧警備業法の「欠格条項」が、憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、最高裁大法廷は、この規定を「違憲」と判断しました。

「成年後見制度」は、精神障害や認知症などで判断能力が十分でない人のために、裁判所が指定した親族や弁護士らが財産の管理などを支援する制度です。

警備業法は2019年に改正されるまで、「成年後見制度」を使う人は警備の仕事に就くことができないとする「欠格条項」を設けていました。

軽度の知的障害がある岐阜県の30代の男性は、2014年から警備会社で交通誘導の仕事をしていましたが、その後、親族との金銭トラブルが起きたことから、2017年に、「成年後見制度」を利用して、「保佐人」を付けました。

その結果、男性は「欠格条項」に該当したことを理由に会社から契約終了を伝えられ、退職を余儀なくされました。

男性は2018年、旧警備業法の「欠格条項」は憲法に違反するとして、賠償を求めて国を提訴。

1審の岐阜地裁と2審の名古屋高裁はいずれも、「欠格条項」の規定が憲法に違反するとして国に賠償を命じ、国側が最高裁に上告していました。

最高裁大法廷はきょうの判決で、「社会や国民の意識の変化が進み、障害者の権利の保障のあり方が大きく変容することとなり、障害を理由とする労働者差別が禁止されるべきだとする考え方が確立された」と指摘。

その上で、「男性の退職時点までには、被保佐人のうち必要な能力を備えた者が一律に警備業務から排除される不利益は看過し難いものとなっていた」として、「欠格条項」の規定を憲法22条が保障する「職業選択の自由」や、憲法14条が定める「法の下の平等」に反して「違憲」であると判断しました。

最高裁が法律の規定を「違憲」と判断したのは、戦後14件目です。

一方で最高裁は「国会が正当な理由なく長期にわたって、その改廃等の立法措置を怠ったということはできない」として、国の賠償責任は認めませんでした。

判決では、裁判官15人全員が「欠格条項」を違憲としていて、このうち5人は、国の賠償責任も認めるべきだとする反対意見を述べています。

判決の後、会見を開いた原告の男性は「障害があろうがなかろうができることはできるし、できないことはできない」「違憲と認められたことはうれしい」と話しました。