いよいよ本格的な冬がやってきました。朝、寒くて布団からなかなか出られない…。という人も多いのではないでしょうか。一体どうしたらシャキッと起きられるのか?冬の朝に知っておきたい覚醒方法を睡眠専門医に聞きました。
■なぜ冬は布団からでるのがつらい?
ーー冬の朝は本当につらいです。上手に起きられるようになるにはどうしたら良いのでしょうか?

睡眠専門医・雨晴クリニック副院長 坪田聡先生
なぜ冬の朝は起きるのがつらいのか、その背景にあることを知ると、対応ができます。大きく二つあって、まず、温度差です。布団の中は暖かいのに布団から出ると寒いですよね。急に寒いところにでると体が危機的な状況だと思いますから、温かいぬくぬくとしたところにいたいなっていうのは自然な気持ちじゃないかなと思いますね。
もう一つは、光です。冬になると、日の出の時刻が遅くなってくるので、目を覚まさないといけない時刻にまだ外が暗いことが多いですよね。冬は、日照時間が短くて、太陽の光が弱いので、覚醒を促進する働きを持つセロトニンの分泌量が減少してしまうからなんです。例えば夏だったら、起きる前から明るいので、嫌々起きちゃうけど、暗い冬はやっぱりなかなか起きにくいですね。
冬の朝がつらい、というのは、人間の本能とか動物的なところに起因しているといえると思います。
■朝起きると寒い!布団から出られない!を解決したい!
ーー人間の本能?!ということは、このつらさには逆らえないのでしょうか?
冬の朝の環境を人間の本能にあわせて快適にしてあげればいいのです。まずは温度差ですが、寝室の気温は大体16~20℃ぐらいの間にあると眠りやすいし、起きやすいと言われてます。ですので、暖房のタイマー機能を使って、起きる30分前から部屋を16~20℃ぐらいの間にしておくといいですよね。
ーーなるほど、寒くなければ起きられそうですね…。でも、正直、暖房費が少し気になります。
布団の中で体を動かして、寒さに負けないように体温を上げるというやり方もあります。人間の体温は起きる直前が最低なんです。軽い運動をすると体温が上がり、心拍数や血圧が上がって交感神経も活発になります。筋肉に力が入ると血行も良くなります。例えば布団の中でできる、手をグー・パーと繰り返すとかですね、あるいは足首をパタパタしたりとか。それを5~10秒繰り返したりとか。体が温まっていれば、布団の外との温度差にも対応しやすいです。
ーーもう一つの「光」については、どのように人間の本能にあわせたらいいのでしょうか?
積極的に「光」を取り込むことです。明るい光を浴びると睡眠中に出ている睡眠ホルモンの「メラトニン」が減り、目覚めやすくなります。カーテンを全開にしたり、天井の照明を全灯にするのが良いでしょう。また、朝起きてまずスマホをみるのもおすすめです。
ーーえ、スマホですか?!
スマホの光でも覚醒効果があり、目覚めを促進してくれます。寝る前にスマホをみると、ブルーライトで睡眠ホルモン「メラトニン」を減らしやすいので良くないのですが、朝であれば効果的と言えます。
ーーなるほど。とても科学的で、なんだか自分にもできそうな気がしてきました。これまで朝起きるためには、気合だ、根性だ、とやみくもに精神論に頼っていたのが良くなかったんだなと反省です。
もちろんそれも効果はあるんですよ。元気な人・健康状態が良好な人に限ってですが、寒さを逆に利用して、起きた時に布団を蹴っ飛ばしちゃって寒い室温にあえて体を晒すというのも有効です。滝に打たれるみたいなものですけどね。寒い状態なら二度寝することもないですし。