■若者層を狙いeスポーツ事業参入 デパートは65%をテナント化で「脱百貨店」へ

J.フロント リテイリングは12月、eスポーツチーム「SCARZ」の運営会社「XENOZ」を子会社化し、eスポーツ事業に本格参入した。川崎市に拠点を置くSCARZは国内や海外の大会で多くの実績を残す強豪だ。

――eスポーツの会社を買収した狙いは何か。

J.フロント リテイリング 好本達也社長:
我々もコンテンツを持たなければならないと思っています。我々の弱みは全体的に見ていくと、若い層に対して入り込むパンチが弱い。何かきっかけがほしいわけです。これから先々のことを考えていくと、やはりZ世代とは2世代ぐらい差があるわけです。そこを一気に取り込んで、パルコとの関係性を持ちながらリアルな場でいろいろなイベントをやっていくとか、そういうものの連携を合わせてこれまでなかなか視野に入ってこなかった消費者、顧客に対してしっかり届けていくビジネスにしていきます。

J.フロントリテイリングが2019年にリニューアルオープンした大丸心斎橋店では、売り場の65%をテナント化し、不動産賃貸収入によるビジネスモデルに経営の舵を切った。

――65%もの売り場をテナント化するという脱百貨店戦略はうまくいっているか。

J.フロント リテイリング 好本達也社長:
うまくいっていると思います。将来に向けて成長の可能性がある、我々の利益を伸ばしていく可能性があるものは自前でやります。今後新しいものに取り組んでいく見極めのカテゴリーはテナントからスタートしていきます。ただ顧客から見た時にはシームレスです。サービスも変わるわけではありません。GINZA SIXで得たものを心斎橋でやりました。コロナ禍の2年半を経験して、我々が伸びると思って35%自前でやったリテールが伸びています。底堅かった。将来の方向性はかなり見えてきていると感じているので、心斎橋はオープンして良かったと思います。

――J.フロント リテイリングはどういう企業になろうとしているのか。

J.フロント リテイリング 好本達也社長:
今の柱は1本目が百貨店で、2本目がショッピングセンター、3本目がディベロッパーです。日本の先頭を走る企業グループを目指してきたことは間違いないと思いますが、若い方やグループを挙げて2030年の姿を今必死で模索していることも確かです。

百貨店の売上高と店舗数を見ると、店舗はピーク時に比べて100店以上減り、売り上げは90年代前半の半分以下に落ち込んでいる。好本社長は「東京にはまだ20店も百貨店があり、そういう街は世界中を探してもない。百貨店がなくなることはないが、特徴ある店作りをやっていかないと生き残っていけない」と語った。

(BS-TBS『Bizスクエア』 12月17日放送より)