14日に史上最高値を更新した株価ですが、今後、悪影響を及ぼすかもしれないのがアメリカの動きです。トランプ大統領は、金利政策をめぐって、中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長を度々批判してきましたが…いまやパウエル氏が検察当局の捜査対象にされる異常事態に。日本経済の先行きにも、不透明感をもたらしています。

建物に掲げられているのは、「権威」や「強さ」などを示すアメリカの象徴「鷲」の彫刻です。今、ここへの圧力を強めているのが…

アメリカ トランプ大統領
「(建て替え計画は)予算を数十億ドルも超えた。彼は無能か、不正を行っているかだ」

トランプ大統領が「無能」とこき下ろすのは、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長。そのパウエル氏に対し、司法省が捜査を行っているのです。

現在、FRB本部は老朽化に伴い建て替え工事を行っていますが、その工事をめぐってパウエル氏が規模を偽り、多額の予算を要求した疑いがかけられています。

アメリカ トランプ大統領(去年7月)
「(工事費用は)31億ドルくらいになりそうだ。少し、いやかなり増えた。27億ドルが31億ドルになった」

トランプ政権の主張に対し、FRBは「根拠を欠く」と反論しています。11日には、パウエル氏本人が捜査について動画で声明を出しました。

FRB パウエル議長
「この前例のない措置は、トランプ政権による脅迫と圧力の文脈の中で捉えるべきだ」

何度もつばを飲みながらも、パウエル氏が語ったのは異例の政権批判でした。

FRB パウエル議長
「捜査は口実にすぎない。FRBが根拠や経済状況に基づいて金利を設定するか、それとも政治的圧力や脅しに左右されるかの話だ」

これまでFRBに対し、繰り返し利下げの圧力をかけつづけたトランプ氏。

アメリカ トランプ大統領(去年6月)
「FRBには愚かな人間がいる。今日は利下げしないだろう」

アメリカ トランプ大統領(去年7月)
「彼には金利を引き下げてほしい。それ以外にないだろう」

しかし、パウエル氏は利下げを拒否。こうした態度がトランプ氏の怒りを買い、捜査着手に至ったとの考えを述べました。

トランプ氏は今回の捜査への関与を否定していますが、歴代のFRB議長ら14人は連名で声明を発表。

FRBの歴代議長らの声明
「捜査はFRBの独立性を損なおうとする前例のない試みだ」

政権内からも懸念の声があがりました。

アメリカメディアは、ベッセント財務長官がトランプ氏に対し、パウエル氏への捜査は金融市場に悪影響を招きかねないと伝えたと報じています。

今回の捜査をめぐっては、各国の中央銀行の総裁らがパウエル氏への連帯を表明する共同声明を発表。イングランド銀行やカナダ銀行、韓国銀行など10機関以上のトップらが名を連ねました。日銀は参加していません。

トランプ政権がFRBへ政治介入することの意味合いについて専門家は…

野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏
「政府がFRBの金融政策に介入すると、金融政策が政治的に歪められてしまう。政治介入が強まると、ドルの信用力が落ちていく。例えば、海外の人がドルの資産、株・債権など(金などに)おカネを移す可能性がある。ドル安・株安・債券安と、トリプル安につながってしまう」

ドルが信用を失うと、アメリカ経済が停滞するだけでなく、世界の金融市場に大きな影響がでます。

もちろん影響は日本にも。

野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト 木内登英氏
「急速な円高になると、株も下がる。輸出企業の収益も悪化するので、例えば雇用を削減するとか、来年の春闘、賃上げはかなり下ぶれるとそういったことが起こってくる。世界全体にとって重要な問題になっている」