半世紀以上前に、広島の中学生たちが作った木製のレリーフが、美術館での役割を終え、母校に里帰りしました。

広島県廿日市市の廿日市中学校で行われた23日の贈呈式には、全校生徒568人のほか、卒業生や有志、およそ30人も参加しました。

レリーフ「いのちの叫び」は、1972年に当時の全校生徒が制作。その後、埼玉県の原爆の図丸木美術館に寄贈され、今年9月まで展示されていましたが、美術館の大規模改修に伴い、行き場を失いました。そこで、当時制作した中本さんが里帰りを企画し、仲間を募って修復したのです。

贈呈式には、当時、中学生の指導にあたった美術の先生も参加しました。

レリーフ制作を指導した教諭 吉野誠さん
「全校生徒の共同作品、いうのは廿中だけですけぇね。生徒が一生懸命(修復して油を)塗り込んでくれたというのは、もう涙が出そうですね」

レリーフの里帰りを企画した中本敬章さん
「世の中ではご存じのように戦争とか紛争とかが起きております。『いのちの叫び』が現実のものとして叫ばれているのかなと思います」

中本さんは、この作品を、戦争や平和について自分事として考えるきっかけにしてほしい、と在校生に思いを託しました。