今年2月、神戸市の商業ビルで、開いたままのエレベーターの扉から男性が転落したとみられる事故で、国土交通省は利用者が乗るエレベーターの「かご」がなくても扉が開く状態だったとする報告書を公表しました。

この事故は今年2月、神戸市の商業ビルで医師の男性が、エレベーターが上下する空間の底で倒れていて死亡が確認されたものです。

事故当時、ビルの4階のエレベーターの扉が開いていましたが、利用者が乗る「かご」はなく、男性は4階から転落したとみられています。

国土交通省の調査部会はきょう、事故の調査報告書を公表しました。

報告書によりますと、事故の8か月前にエレベーターの修理を行った保守点検業者が、作業の際に通常と異なる方法で一部の安全装置を切りました。

この措置をしたことでエレベーターの扉が閉まっていない状態でも「かご」が動くようになりましたが、業者は作業が終わった際にエレベーターを元の状態に戻すのを忘れていたということです。

また、修理が行われてから事故がおきるまでに2回点検が実施されましたが、作業の手順書どおりに点検が行われなかったため、安全装置が切れていることに気がつかなかったと指摘しています。

こうしたことから、調査部会は国土交通省に対し、再発防止のために、▼作業書と異なる方法で作業した場合は記録を残し、元の状態に戻すよう周知することなどを求めました。