日銀が利上げをしたあとも止まらない円安。22日は一時、1ドル=157円台後半まで下落しました。円安などによる物価上昇=インフレが進む一方、株価は好調で、専門家は「株高不況」「株を持たない家計に打撃が集中しやすい」と指摘しています。

喜入友浩キャスター
「クリスマスイブまであと2日。東京・上野公園で行われているクリスマスマーケット。平日にもかかわらず、多くの人でにぎわっています」

数々のイルミネーションに彩られた東京・上野公園。クリスマスマーケットはたくさんの笑顔であふれていました。

「娘が幼稚園最後の日でご褒美ということで、クリスマス気分を味わいに上野に来た」

Q.娘さんの表情はどうですか?
「最高だね」
「うん!」

娘と訪れていたこちらの男性、築地の刃物店に勤めているといいます。

築地の刃物店に勤務
「職業柄、外国人のお客さんが多いので、円安で外国人のお客さんが買っていただいたり、ありがたいと思う。本当に簡単に買っていく感じがする。それはびっくりですよね」

来日する外国人にとって、円安で商品が“割安”になっているといいます。

しかし、日本で暮らす人にとっては円安で“割高”になる物も。クリスマスマーケットの出店者によりますと、ヨーロッパから輸入しているビールの仕入れ価格は、5年ほど前と比べ、1リットルあたり200円上がりました。

円安・物価高の影響は来場者にも…

「2か月くらいコメ無し生活してました。コメ買わずに生活してました」
「円安だからそもそも海外旅行に行こうとも思わない」

物価高の一因となっている円安。今、政府にとって“思わぬ形”で急進しています。

木原稔 官房長官
「足元では一方向な急激な動きも見られ、憂慮しております」

先週金曜、政策金利を30年ぶりの水準に引き上げた日銀。一般的に利上げは円高の要因となるとされますが、22日の外国為替市場では一時、1ドル=157円台後半まで下落しました。

国債も売られ、長期金利は一時2.1%に上昇。およそ27年ぶりの高い水準となりました。

利上げをしたのに、なぜ円安は止まらないのでしょうか。

第一生命経済研究所 藤代宏一エコノミスト
「日銀の利上げ見通しに関して大きく変化が生じなかったことで、投機筋としては円売りを仕掛けやすくなった」

日銀から“次の利上げ”への積極的な発信がなく、円売りの歯止めにならなかったと藤代氏は指摘しました。

その“円安”が好感され、22日、日経平均株価は5万円の大台を回復、AIや半導体銘柄が買われました。

藤代氏は、円安などで物価が上がる=インフレが進む一方で、株価が高い今の状況を「株高不況」と表現します。

第一生命経済研究所 藤代宏一エコノミスト
「インフレは企業・株価にとっては追い風となる一方で、消費者には逆風となっている。株式を持たない家計に関してはインフレの打撃が集中しやすい。そういう構図はしばらく変わらないと思う」