ことし4月、知床半島沖で起きた観光船沈没事故で、国の運輸安全委員会は、船首の甲板のハッチから海水が流れ込こみ、沈没したとする経過報告を公表しました。

 運輸安全委員会がまとめた経過報告によりますと、沈没した観光船「KAZUⅠ(カズワン)」の位置が最後に確認された「カシュニの滝」沖では、波の高さが2メートルを記録していました。
 これまでの調査で「KAZUⅠ」の船首の甲板のハッチが、事故前から完全に閉まらないようになっていたことがわかり、船の揺れでハッチのふたが開き、高い波によって大量の海水が船の内部に流れ込んだため、沈没したと推定しています。
 また、エンジンが停止したのは、機関室に流れ込んだ海水によって、燃料を噴射するために必要な電子部品がショートしたためとみられています。
 この事故では、乗客・乗員20人が死亡し、6人が行方不明のままです。
 運輸安全委員会は経過報告の内容を踏まえ、さらに運航判断や検査の実効性などが事故にどのような影響を与えたかなどの分析をすすめ、最終報告書をまとめる方針です。