人気ロックバンド「ASIANKUNG―FUGENERATION」のボーカル・後藤正文さんが呼び掛け、お茶の倉庫を音楽スタジオに変える工事が、着工から1年を経てついに完了しました。
2024年の夏、後藤さんは静岡県藤枝市内の築130年の蔵を訪れました。

<後藤正文さん・静岡県島田市出身>
「天井が高いだけで、全然印象が違う」
<改修設計担当 光嶋裕介さん>
「床を剥がすので、もっと高い、教会のような高い天井になる」
<後藤さん>
「この高さが出せないんですよ、都内だと。どこに行っても(天井の)高い物件がなくて」
お茶の倉庫として使われていた2階建ての蔵を、音楽スタジオに変えようというのです。
スタジオの名前は「MusicInnFujieda(ミュージックインフジエダ)」。

20年以上、ロックシーンの最前線を走り続ける後藤正文さん。
島田市で高校時代までを過ごし、昼はサラリーマンとして働きながらメジャーデビューを果たしました。

「地方と都会の音楽環境の格差をなくしたい」。後藤さんは、2024年、藤枝市内に若手ミュージシャンなどを支援するNPO法人を立ち上げました。
蔵をスタジオに改修するための資金はクラウドファンディングで募り、3か月で5169人から7560万円の支援金が寄せられました。
着工から1年。

<記者>
「だいぶ、変わりましたね」
<後藤さん>
「中の建物は、ほぼ完成ですね。都内の大きなスタジオで録ると、そういうところの良さは、大きな響きを録れることなんですけど、そこと比べても遜色ないものが作れると思います」
蔵の2階の床を取り外し、吹き抜けに。
天井の高さを生かすことで、音質のために欠かせない広い空間を確保しました。
スタジオの壁には取り外した床を再利用しています。
<後藤さん>
「トリックアート的ですよね。昔ここに人が立って、あれが壁だったって考えると、なんか元々の、こうね、床がズオーと動いてきたかのような、なんかすごい不思議な。昔のことにも少し思いを馳せてもらえるというか。内側は土の蔵だったんだ、と」
蔵の隣のガレージは、コントロールルームに。
ブースで演奏した音を録音・調整する場所です。
<後藤さん>
「これは僕のスタジオから持ってきたものですね」

この音声調整卓は、後藤さんが自費で購入し、プライベートスタジオで使っていたものです。

<後藤さん>
「高級な車くらいはしますね。僕がひとり占めして使うよりもみんなが繰り返し使った方が機材の使用価値は高まる。」
「静岡ならではの、すごい自慢していいですか?浜松が世界に誇るボスっていうペダルがあるんですけど、ローランド。本当に最高ですね」
ギターなどの楽器の音色を操作するペダルエフェクターは、浜松の楽器メーカー・ローランドが寄付してくれました。
<後藤さん>
「ギターキッズに戻るなら1日中全部試したい…ちょっと早口になるくらいすごい事ですね」
後藤さんの思いに賛同した県内外の企業などから、スタジオに必要な機材が日々、寄せられています。
スタジオ利用客のための宿泊スペースの準備も着々と進み、滞在型音楽スタジオ「MusicInnFujieda(ミュージックインフジエダ)」は、2026年春の営業開始を目指しています。
<後藤さん>
「静岡からすごいバンドが出てきて、『初めて録音したのは藤枝のスタジオで』みたいな話を雑誌やテレビのインタビューで語っているのを、僕がじいさんになって目撃できたら最高だなって。『(スタジオを)作ってよかった!』みたいな」














