「物価高」という言葉が日常的に聞かれるようになりましたが、今度は札幌市が下水道料金を約30年ぶりに値上げする方針を固めました。

貴田岡結衣記者
「暮らしを支える下水道。その料金が2026年10月から大きく引き上げられようとしています」

札幌市の改正条例案では、排出量10立方メートルまでの基本使用料が月額660円から825円に。
10立方メートルから増えると加算される従量使用料も、これまでどおり一般家庭・事業所もあわせると平均23%の値上げとなります。

試算では、1人暮らし世帯で月額825円、3人暮らしでは1782円となります。

2025年1月に埼玉県で起きた道路陥没事故。

原因は下水道管の腐食とみられています。

札幌市の下水道管も設置年数が30年を超えるものが約185キロと、札幌から十勝の広尾町までの直線距離とほぼ同じ。

適切な維持管理には、人件費など費用がかさむというのが値上げに踏み切る最大の理由です。

11月、札幌市は市議会に料金値上げを含む条例改正案を提出しました。実現すれば約30年ぶりの改定とあって、8日の市議会では有識者の意見を聴く聴聞会が開かれました。

北海道大大学院工学研究院 白崎伸隆准教授
「集中豪雨や地震といった危機に強い都市インフラを確保し、脱炭素化など環境目標に対応しつつ、次世代に健全な公的資産を引き続ために必要な措置であると考える」

4人の参考人うち3人は物価高などを理由に値上げは「妥当」としました。
その一方で…

北海道生活と健康を守る会連合会 沢野天副会長
「多くの市民の皆さんの命と健康、中小企業の経営を脅かすことになる、下水道は公共性が高く、行政が責任を持つべきだ」

札幌市電の乗車料金値上げが議論された2016年以来9年ぶりに開かれた聴聞会。
あすの委員会では質疑などが行われたのち、改正条例案が可決される見通しです。