アメリカ・メジャーリーグで長年活躍し、今年、日本人初のアメリカ野球殿堂入りを果たしたイチローさん(52)が11月24、25日の2日間、福岡県の九州国際大学付属高校で野球を指導しました。

秋の高校野球日本一を決める神宮大会で優勝を果たした九国大付のレベルの高さに驚く場面も。高校生たちにこれからの人生を歩むうえでの金言も授けました。

九国大付は秋の九州大会で優勝に輝くと、勢いそのままに神宮大会でも強豪を次々と撃破し、大会初優勝を果たしました。投手陣では1年生の左腕・岩見輝晟(いわみらいせ)とエース右腕・渡邉流(わたなべるう・2年)の2枚看板で相手を翻弄。

打線では早くも来年のドラフト候補にもあがる牟禮翔(むれしょう・2年)を中心とした強力打線で決勝では11得点を奪い攻撃力の高さを見せました。

来年春のセンバツ甲子園でも優勝候補に挙げられるこの強豪校を今回訪れたイチローさん。6年目を迎える高校球児の指導は、九国大付属で12校目になります。

まず行ったのはキャッチボール。野球をやっている人なら簡単にできる基本の動きですが、ここにも「イチ流」の考え方が。

イチローさん
「僕のキャッチボールは常にターゲットは相手の右肩。右にそれるのが嫌いで、その時はなにか動きに問題がある。バッティングと同じで下から力を伝えてます。最後に手が勝手に走るイメージ」

イチローさん
「目をつぶってターゲットに向かって投げられるか。みんなやったことないよね。いかにバランスを保つのが大切かわかると思う」

選手たちが目をつぶってキャッチボールに挑戦しますが、なかなか狙い通りには投げられません。

しかし、イチローさんが投げると・・・一直線に相手の胸に。

イチローさん
「おおっしゃー!」

球児たちは驚きの表情で拍手を送ります。

そんなイチローさんを驚かせたのが、キャッチャーの城野慶太(じょうのけいた・2年)。

イチローさん
「おお!僕よりうまい!こうやってリズムよくできるようになったらめっちゃ上手くなると思う」

その後、走塁の極意などを教わった選手たちは、バッティングの指導を受けることに。

日米通算4367本のヒットを放ったレジェンドの技術を目の当たりにして、選手たちの目はより一層輝きます。

ただ、ここでもイチローさんは選手たちの能力の高さに驚くことに。

ストライクゾーンギリギリのインコース高めとアウトコース低めにティーをおいて打撃練習をしてもらいますが、九国大付の選手たちはいとも簡単に鋭い打球を飛ばします。

イチローさん
「いいね!もっとできないことを期待していたんだけどね。そうですか、みなさんレベル高いですね」

選手たちにとっては夢のような時間となったイチローさんによる指導。

最後に、選手たちに今回の指導を通して覚えておいてほしいことをイチ流の言葉で伝えました。

イチローさん
「野球で結果を残す、甲子園に出て結果を残すことももちろんなんだけど、みんながそのあと大学に行ったり社会人になったり、プロに行ったり、その時に社会の厳しさに耐えうる大人になってほしい。立派な大人になってほしい。みんなすごく個性があっておもしろいチームだなと思った。僕も個性のかたまりです、プロ野球選手で個性が多いなか、割と強い方。なかなか貫くのは大変だけど、個性を大事に。それは当たり前にあるものではないので。いくつになっても持っておいてほしい言葉をみんなに伝えたいなと思いました。期待しています」