警察庁はきょう、東京・渋谷区で犯罪被疑者支援のイベントを開催。14年前、京都市で起きた殺人事件で長女を失った父親が講演を行いました。

清家政明さん
「ある日突然、犯罪被害というのは本人に被ってくるんです。プロとかではないのです。みんな被害者は素人です。ぶっつけ本番で被害に遭うので、どうすればいいかわからない。頭の中が真っ白。次どういう動きがいいんだろう。自分の精神状態がどうなるのかもわからない。そういう状態に陥ってしまいます」

犯罪被害者への理解を深める「犯罪被害者月間」にあわせ、きょう、警察庁が開催した東京・渋谷区のイベントで登壇し、被害者支援の重要性を強く訴えた清家政明さん(77)。

2011年3月12日。東日本大震災の翌日、京都市内の薬局で同僚の男に包丁で刺され、当時、薬剤師として働いていた長女の千鶴さんを失いました。

男は、警察の取り調べに「誰でもいい。とにかく人を殺したかった」と供述していたということです。判決で男には、無期懲役が言い渡され、その後、男は刑務所で自ら命を絶ちました。

清家さんは講演で、「人の命に軽重はない。殺人は被害者に何の落ち度もなく、ただ加害者の手前勝手な屁理屈による最低の行為」としたうえで、「快楽のための殺人は一生かけるだけの値打ちがあるのか」「せめて極刑をもって被害者の冥福を祈り、名誉を守ることが残された者の願いであり、人間社会のモラルではないか」と思いを語りました。

赤間二郎国家公安委員長はイベントの冒頭で、「社会全体で犯罪被害者等への理解を広げる取り組みを進めていくことが重要」としたうえで、犯罪被害者支援の政策をより一層充実したものにしたいと述べました。