人口1,000人当たりの万引き認知件数が、過去に7年連続ワースト1位だった香川県。この状況を改善しようと、香川大学は、警察と連携して独自の取り組みを続けています。万引きをさせないためには「光」「音」「ポスター」「店員のあいさつ」のうち、どれが心理的に最も効果があるかを検証する全国で初めての”疑似万引き”実験が行われ、結果がまとまりました。

人目のつかない場所に立つとライトが点滅。その効果を検証します。実際の店舗で行われた香川大学の実験です。警察などの協力を得て、法的に問題のないかたちで行われました。被験者となったのは、46人の学生たちです。店の死角に入り、実験用の商品をカバンに入れる、”疑似万引き”をします。このとき、「光」「音」「ポスター」「店員」のどの対策で躊躇したか、心拍の変化や、行動の映像、また感情などのデータを集めました。

(実験に参加した学生)
「一番どきどきしたのは本当の人間にあいさつされること。『いらっしゃいませ』とあいさつされたんですけど、それがほかのものと比べてもすごくどきどきしました」

犯罪心理学が専門で万引き対策に長年取り組む大久保教授です。被験者の感情を分析した結果がこのほどまとまりました。
(香川大学 教育学部 大久保智生教授)
「やはり人の目がとっても重要ということですね。人の目を気にしているんですよ、万引き犯って」

最も効果があったのは、46人中36人が「躊躇した」と答えた「店員のあいさつ」でした。「光」と「音」は気づいた人の約半数を躊躇させる一定の効果があった一方、これまで効果があるとされてきた「ポスター」は、「躊躇なし」「気づかない」がほとんどでした。

(香川大学 教育学部 大久保智生教授)
「人が声をかける条件がいちばんどきどき、緊張や不安を高める。いわゆる万引きされやすいホットスポットというのがあるので、まずはやはり店員さんの動きかなと思いますけど、店員さんにどんどんそこをまわっていただく。そしてほかのお客さんもまわれるような仕掛けを作っていくというのが重要かなと思います」
実験に協力した店舗も、これまで、さまざまな万引き対策に取り組んできました。
(西村ジョイ成合店 柾木智也店長)
「私たちがやろうとする笑顔であるとか、あいさつとか、声かけとか、目合わせとかですね、そういったことの延長線上に万引き対策があるということを私たちは知っていますので、アプローチのし方が少しでも学べたらと思うんですけど。結果を受けて対策は見直していきたいですね」

(スタジオ)
ー2010年から香川大学と香川県警が連携し、万引き防止策としての「店内での声掛け」提唱、「セルフレジの万引き防止マニュアルの作成」など、独自の取り組みが行われています。大久保教授は、怪しい「人」に注目するのではなく危険な「場所」に注目すること、「死角」に人の流れをつくり、人の目を増やすこと、さらに店員や客の「笑顔」で明るい雰囲気の店を作ることなどの万引き防止策を呼びかけています。














