公務災害認定までの長い道のり

北九州市立大学の学生に語りかける安徳晴美さん

安徳さんは、公務災害を申請すればすぐに認定されると思っていた。

安徳晴美さん
「だってこんなに働いてるんだもん。夫のことをしっかりと数字で表せば認定されるって信じていました」

しかし、現実は違った。

一般労働者の過労死は労働基準監督署が管轄し、労働災害として認定される。

しかし、公務員の場合は公務災害となり、管轄する省庁も審査手順も異なる。
総務省の管轄だ。

安徳さんはそのことを知らなかった。

さらに大きな壁が立ちはだかった。
「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」、通称「給特法」だ。

この法律により、公立学校の教員には時間外勤務手当が支給されない代わりに、給料月額の4%が「教職調整額」として支給される。

そして、残業を命じることができるのは、「生徒の実習」「学校行事」「職員会議」「非常災害等やむを得ない場合」の4項目のみと定められている。