逮捕された被疑者(容疑者)が勾留先で取り調べの内容などを自ら記録する「被疑者ノート」を、警察官が持ち出していたことが分かりました。

権利を侵害しているとして弁護士が裁判所に申し立て、被疑者の勾留場所が変更されました。

被疑者の権利を侵害?

「被疑者ノート」は日弁連(日本弁護士連合会)が作っているもので、逮捕された被疑者が取り調べの様子を自ら記録し、捜査機関から不当な扱いを受けていないかを確認するためのものです。

関係者によりますと、10月に薬物事件で逮捕され、熊本北合志警察署に勾留されていた被疑者が、弁護士と接見した際に「被疑者ノートを警察官に回収されるが、取り調べの内容を書いていいのか」と相談したことで、警察官がノートを持ち出していることが分かりました。

その後、弁護士は、勾留中の被疑者が弁護士とやりとりする権利である「接見交通権」を侵害しているとして、勾留場所の変更を申し立てました。

熊本北合志警察署

熊本簡易裁判所は11月6日に勾留施設の変更を決め、被疑者は別の施設に移送されました。

熊本県警「中身は見ていない」

熊本県警はRKK熊本放送に取材に、被疑者ノートについて「法律に則って、自傷行為や事故防止、保安管理上の理由で、就寝中は私物を保管庫に収納している」として、全ての被疑者に同じ対応をしていることを明らかにした上で「重要な物という認識はあり、中身は見ずに慎重に取り扱っている」とコメントしています。

弁護士「被疑者の手元に置くのが前提」

今回、勾留施設の変更を申し立てた弁護士は「ノートは被疑者の手元に置いておくことを前提に日弁連が作成したもので、県警が持ち出しているとは知らなかった」「熊本県警の対応が明らかになったことで、今後、熊本県外やいろいろな場所に議論が波及していくのではないか」と話しています。