お値段から世の中の動きを読み解いていくコーナー「きょうのお値段」。今回は、蔦屋書店のシェアラウンジ、1時間の利用料金「2420円」です。

■アルコール片手に…フリードリンクのブックラウンジ

出水麻衣キャスター:
ここ最近、“本のラウンジ”が増えているようです。

東京・渋谷区には飲み物を片手に本を楽しむことができる“フリードリンクのラウンジ”があるんです。

【代官山 蔦屋書店「SHARE LOUNGE」】
・購入前の本は3冊まで持ち込み可能
・ソフトドリンクプラン:1時間 1870円
・アルコールプラン:(生ビールやハイボールなど)1時間2420円
(パンなどもフリー)

井上貴博キャスター:
AIでも様々な情報を得ることができますが、これは過去の自分の趣味嗜好の適正化でしかないんですよね。一方、本屋には「こういう本があるのか」といった偶然の出会いがあります。それが本屋の良さですよね。

■寝落ちOK「眠る瞬間」を体験

出水キャスター:
本を読むと眠くなるという方におすすめの、“寝落ちOKのラウンジ”があります。

コンセプトは「泊まれる本屋」ということで、一部がカプセルホテルのようになっているのです。

【東京・新宿 BOOK AND BED TOKYO SHINJUKU】
・2500冊以上の書籍
・1泊:8000円~
・デイユース:1時間500円(+1オーダー)

担当者は「『本を読みながらいつのまにか眠ってしまう瞬間』を体験として提供したい」といいます。

文芸評論家 三宅香帆さん:
本を買ったけど「どこで読もうかな」と悩む人も多いのではないでしょうか。そんな時に本を買ってそのままシェアラウンジや、ブックホテルといった本を読む場所があると「読み切れたら嬉しいな」と感じて、また本を買いたくなるという循環があるのかなと思います。

■『空間と音』でもたらす効果

出水キャスター:
丸善ジュンク堂書店は、2025年4月、東京・虎ノ門ヒルズに新スタイル書店「magmabooks」をオープンしました。こちらの書店でも有料ラウンジを併設しています。

【東京・虎ノ門ヒルズ「magmalounge CALM」】
・購入前の本は3冊まで持ち込み可能
・1時間:1100円
・1日:3850円
(※個室は別途料金)

このラウンジでは『空間と音』である効果をもたらしているということです。

YAMAHAなどの専門チームが開発した『サウンドビオトープ』という、心地よい水が滴る揺らぎの音を流すことによって、心をほぐし、思考をリセットし、集中と緩和のサイクルを促す効果があるというのです。

magmabooks 渡辺店長は「水が滴る音を響かせ創造性を引き出す」と言います。

文芸評論家 三宅香帆さん:
虎ノ門という大都会で、このような静かになれる場所はなかなかないと思います。その中で本を読みながらゆっくり落ち着くことができるというのは面白いアイディアだなと思いました。

■読書量減少の理由「スマホに時間が取られる」

ブックラウンジが増える一方で、読書量は減っているという調査があります。

【1か月に読む本の冊数】
・1、2冊読む:27.6%
・本は読まない:62.6%

【読書量が減っている理由(複数回答)】
・(携帯電話・スマートフォン等)情報機器で時間が取られる:43.6%
・仕事や勉強で忙しくて時間がない:38.9%
・視力など健康上の理由:31.2%
・テレビの方が魅力的である:19.8%
・読書の必要性を感じていない:8.5%
(いずれも文化庁 2023年度「国語に関する世論調査」)

文芸評論家 三宅香帆さん:
私は1か月に20冊くらいは読むのですが…。本を読む人が減っているというのは、本を読む側としては切ないものがあります。

しかし、ブックラウンジなどがあると、「とりあえず書店に行こう、そのついでに面白そうな本があったら買おう」という流れになると思うので、書店にラウンジができるのはすごくポジティブだなと思います。しかも(利用方法によっては)カフェに行くよりもいいのではないかと思ったりもします。

井上キャスター:
私は仕事に関する本を優先的に読むので、読みたい本は後回しになってしまうのですが、月1、2冊読めればいいかなというペースで本を読んでいます。

高柳光希キャスター:
私は月に1冊くらいです。読書を共有する友達が何人かいるので、その人たちにレコメンドされたものを読むという感じです。

出水キャスター:
そういうコミュニティ作りもすごくいいですね。

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<プロフィール>
三宅香帆さん
文芸評論家
著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」で「新書大賞2025」受賞
31歳