おかやまマラソンは11月9日に本番を迎えます。イブニングニュースでは注目のランナーをシリーズでお伝えしています。今回は、フルマラソン参加の女性では最高齢の79歳で視覚に障害があるランナーです。強い思いを胸にエントリーしています。

見えているうちに死ねたらどんなに楽だろう

(久保瞳さん)
「足の裏で地面を感じてね。風を感じて、やっぱり風って気持ちいいですよね。走っている実感が湧くんですよね」

伴走者とともに軽快なリズムで走ります。岡山市に暮らす79歳の久保瞳さんです。

(久保瞳さん)
「ちょっと待って、いまどこを走ってるん?橋は右?左?」

久保さんは網膜色素変性症という目の難病を患っています。徐々に視力を失う病気で、現在は目の端に明るさを感じる程度だといいます。

(久保瞳さん)
「普通に見えていて、途中で見えなくなって。50歳までには失明すると言われたときにはもうショックでしたしね。見えているうちに死ねたらどんなに楽だろうと思っていました」

久保さんは23歳で結婚し、2人の子どもを授かりました。

しかし33歳のとき、目に違和感を覚え40代でほぼ視力を失いました。一時は生きる気力も湧かなかったといいます。そんな久保さんの心を動かしたのが、60歳で出会ったマラソン。

これまでに、国内外のフルマラソンに約30回挑んできました。

(久保瞳さん)
「今は生きがいですね。マラソンの大会に出たいというのも含めて、そのためにそれに照準を合わせてコツコツと練習している。一つ一つの大会がやっぱり幸せですね」