国境地帯での軍事衝突の後、停戦に合意したアフガニスタンのタリバン暫定政権とパキスタンによる和平交渉が決裂しました。パキスタンの国防相は「我慢の限界だ」と警告していて、再び緊張が高まるおそれがあります。

アフガニスタンで実権を握るイスラム主義組織タリバン暫定政権とパキスタン政府は、今月に起きた国境地帯での軍事衝突の後、即時停戦に合意。25日からトルコで停戦の維持に向けた協議を行っていました。

こうしたなか、パキスタンのタラル情報・放送相は29日、「両者の対話が実行可能な解決策をもたらすことに失敗した」と明らかにしました。

パキスタン側はこれまで、国内でテロ攻撃を繰り返している武装勢力をタリバンが保護していると非難していて、タラル氏は今回の協議で措置を求めたものの、タリバン側が「問題の核心から逸脱し、責任を回避した」としています。

一方、アフガニスタンメディアは「領空侵犯などをやめるよう求めたタリバン側の要請をパキスタンが拒否した」と伝えています。

和平交渉が決裂したことを受け、パキスタンのアシフ国防相は声明で「もう我慢の限界だ」としたうえで、タリバンに対し、「自らの危険と破滅を覚悟の上で我々の決意を試してみるがいい」と警告していて、再び緊張が高まるおそれがあります。