地球温暖化を逆手にとって、1回の田植えで2回、コメを収穫する「再生二期作」が注目されています。この取り組みは全国各地でまだ始まったばかりですが、広島県尾道市の農業法人で27日、2回目の収穫作業がありました。

尾道市御調町の農業法人「今津野東」の田んぼです。「あきたこまち」の穂が実り、2回目の稲刈りです。

農業法人「今津野東」 森泰宏 代表
「一度植えて、2回収穫できるということで、効率的に収穫量を増やすことができる。そういうところが魅力です」

こちらが8月上旬にあった1回目の稲刈りです。

農業法人「今津野東」 森泰宏 代表
「5~6年くらい前までは想像できなかったんですが、この2~3年で急激に暑くなってきているので、二期作の条件ができてきた」

ポイントは2つ。2回収穫するために田植えの時期を早くすること。そして、イネの刈り方です。

近藤志保 気象予報士
「刈り取ったイネの株は通常であれば10センチほどですが、こちらは40センチほどの高さを残してあります」

この長めに残した切り株に肥料を与えて育てました。そして迎えた2回目の稲刈り。

田んぼではアドバイザーを務めた地元JAの職員らも作業を見守りました。すでに課題も見つかっています。

農業法人「今津野東」 森泰宏 代表
「刈ってまた再生してまた穂が出た時に、こういうしっかり熟れているところと、新たにまた穂が出てきて青いところとバラツキがかなり大きいってところが、品質を下げる要因になって来るんで」

収量の方は目標クリアとなるのでしょうか?

目安となる10アールあたりの収量は1回目で8・5俵の510キロ。2回目と合わせて10俵600キロとしました。収穫したもみを森代表がチェックします。

農業法人「今津野東」 森泰宏 代表
「やっぱり青がどうしても多いんで、心配してたよりはよかったかなと思います。650くらい、ギリ、10俵超えくらいです。まあ最低限、目標クリアできるんじゃないかなと思います」

指導したJA尾道市世羅営農センター 佐藤清之 主幹
「もう十分1回目の試験、成功だと思います」

この栽培技術を開発した国の農研機構によりますと、「穂のバラつき」は今、技術の改良を行っているということです。ことし「再生二期作」に取り組んだ生産者の数は全国でおよそ30件と去年の倍以上に増えていて来年はさらに増えるものとみています。