「学び直しの場」として、三豊市に今年春に開校した公立夜間中学に、新たな生徒が転入しました。
新入生は、不登校になっていた14歳の現役の中学生。学齢期の生徒が公立夜間中学で学ぶのは、全国で初めてです。


夜、中学校の教室に明かりがともっていました。今年春に開校し、11人が在籍している高瀬中学校の夜間学級です。

その中に一人、10月に転入してきたばかりの男性がいます。

「ミスター中川」
中川大貴さんは14歳、中学3年生です。以前通っていた別の県の中学校で、不登校になりました。

(中学3年生 中川 大貴さん)
「中学校には、2年生の夏休みに入る前ぐらいまで行っていました」
ーそれから先は不登校?
「はい」
ー夜間中学に来てみたかった?

「昼の学校より行きやすそうだったから、行ってみたかった」

国が、各都道府県に1校以上の設置を目指している「公立夜間中学」。
十分な教育を受けられなかった人の「学び直しの場」ですが、三豊市は、全国に先駆け「不登校の現役の中学生を受け入れる特例校」に指定されています。
そのため、大貴さんは両親とともに香川県に移り住み、公立夜間中学で卒業を目指すことにしました。

(大貴さんの父 中川 真治さん)
「一番考えていたのは、子供が学校にいかなくなかったことに対して、どういう道があるか、というのを考えていました」
「勉強する、学ぶ場所ですよね。自分の子にあった場所で勉強させられる、というのが大事なことではないかと」


中学2年の時に、友人とのトラブルから不登校になり、同年代との会話に抵抗があるという大貴さん。様々な年代の生徒が通う夜間中学では、交流も生まれ、勉強への意欲もわいてきました。
(中川大貴さん)
「楽しいです」
ー勉強をしたいという気持ちはあった?

「ありました。」
「数学とか苦手なやつを少しでもできたらいいなって」

三豊市では、他に不登校の中学生2人を受け入れる準備を進めています。不登校の中学生を受け入れる公立夜間中学は、全国ただ1つなのです。
(高瀬中学夜間学級 城之内 庸仁教諭)
「選択肢が多ければ多いほど、その子供によってはマッチするかどうかというのが変わってくる」

「楽しそうに勉強している、そういう姿をみると、『公立の夜間中学が学齢期を受け入れる』ということはとても重要なんだなと」
来年3月まで学ぶと、大貴さんは「中学卒業の資格」を得ることができます。不登校で一度は学ぶ機会を失った中学生でも、高校に進学するチャンスが生まれるのです。

(中川大貴さん⦅14⦆)
「高校は考えてもいなかったです。」
ーそれが今は?
「今はちょっとだけ考えてます」
ー高校に行きたくなった?
「通信高校ならいけると思います。」

(大貴さんの母 中川 加代さん)
「もっと息子みたいな、『学校に行きたいけど行けない子』が行けるところがあったらいいですね。たくさんあったら」

新たな学習の場で、学び直しを。公立夜間中学でその門戸が広がれば、多くの人に未来が開けます。