岡山市在住の歌手、沢知恵さんが、ライフワークとするハンセン病療養所とのかかわりについて、エッセイを書き下ろしました。

入所者と交流を深め、泣いて笑った日々が生き生きと綴られています。

「書くことは使命だった」

(「胸の泉に」より)
「かかわらなければ かかわらなければ…」

毎月最後の日曜日。高松市の大島青松園にある教会から、讃美歌が聞こえてきます。オルガンを弾くのが、沢知恵さん。自身もキリスト教徒です。

入所者の高齢化で一度は途絶えた礼拝を、9年前に再開し、世話人として守っています。終わりゆく島を残すために、自分に何ができるか、試行錯誤の日々です。新刊「あなたがたの島へ」を書くことは使命だったと、沢さんは語ります。

(沢知恵さん)
「私の魂のような本になった気がしているんです。もちろん、この装丁、デザインもすごく気に入っているんだけど、手にしたときに、ああって、まるで赤ちゃんを抱きかかえたくなるような、愛しい本。本当に、登場する皆さんがあまりにも素敵な人たちなので、そのことをこうやって本にできて良かったな、ありがとうっていう、うん、そんな気持ちですね」