■将来的には法人税に上乗せか 予算は約43兆円でも具体的な中身提示せず
山本恵里伽キャスター:
政府は防衛費の増額を進めていますが、今の状況を改めて見ていきます。

政府は現在、ミサイル攻撃などの兆候があった場合、発射前に相手国に打ち込むことを可能とする反撃能力について保有できるよう調整を進めています。12月2日には与党間で合意に至っています。

そして、政府はGDP比1%など約5.4兆円を2023年度から増額し、2027年度にはGDP比2%・約11兆円を目指しているのです。
さらに岸田総理は5日夜、2023年度から5年間の防衛費の総額について、約43兆円を確保するよう指示しました。
小川彩佳キャスター:
大きな方針転換となるわけですが、そもそも防衛費の増額自体は必要なんでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩 氏:
まずウクライナ侵攻がありまして、NATO諸国は国防費をGDP比2%以上にしましょうというので、日本も足並みをそろえてほしいという国際環境があります。

日本の場合は米中対立で台湾有事が懸念されているなかで、反撃能力に必要なミサイル発射配備を進めています。それに伴い、▼武器弾薬の調達、▼隊舎の老朽化対策などが防衛費増額の原因になっていますが、5年間で約43兆円という巨額なお金のわりに政府側、特に岸田総理の説明は不足というのが現状だと思います。
小川キャスター:
そしてこれだけの増額が巨額となると財源をどうするのかということになりますが、政府はどう確保しようと?

星浩 氏:
亡くなった安倍元総理は国債で検討していましたが、全部国債というわけにもいかないので、1~2年は国債で繋ぐとしても将来的には法人税の税率を上乗せするかたちで増税していこうというのが政府の計画です。
それに加えて余剰金(埋蔵金)が活用できないか、将来的には富裕層増税も視野に入れていこうというプランだと思います。
小川キャスター:
お財布の話になっていますが、肝心な防衛の中身がどうなるのか。この発信が足りないというか、いまいち見えてこないのが気がかりですね。

星浩 氏:
防衛費の増額にあたって内容、予算、財源がセットで示されるべきですし、岸田総理もそう説明していましたが、今回は内容の方が全然具体化していない割に予算だけが約43兆円ありきということになったわけです。加えて日本は専守防衛という国是があるわけで、専守防衛との兼ね合いはどうなるのかという問題など疑問はいっぱいあるわけで、国民の意見を聞く必要があると思いますし、少なくとも防衛政策の大転換なので与野党の党首会談とか国会の議論を踏まえて国民的な議論を展開したうえで、方針を定めていってもらいたいと思います。
小川キャスター:
岸田総理としては国民の意見を聞こう、問おうという意思はあるのでしょうか。
星浩 氏:
いずれは通常国会で最大の焦点になるんですが、その前にタウンミーティングとかいろんなディスカッションの場などを設ける必要があると思います。














