今年は昭和元年から数えて100年目。
時代超えて愛され続ける名店の味を紹介します。
昔はカツオ漁が盛んだった西伊豆町の田子で、地元の人たちや観光客を笑顔にしている食堂です。
塩漬けしたカツオを天日干しして仕上げる正月の縁起物「潮カツオ」。
作られているのが西伊豆町田子、海と山に囲まれた港町です。
港のそばに「さかなや食堂」があります。
店内には御年95歳、初代の山本博文さん。
息子の隆義さんが厨房に立ちます。
昭和37年の創業当時からの人気メニューは「カツ丼」。
サクっとした衣に卵が絡み甘めの味付けが特徴の昔ながらの「カツ丼」です。
<さかなや食堂 山元隆義さん>
Q港町だから魚料理かなって
「地元の人は魚は『貰って食べるもの』という意識が強いので、魚料理をやっても売れない」
魚は家でのおかず、肉は店で食べるご馳走だったそうです。
<客>
Q魚よりもカツですか?
「そうですね」
西伊豆町田子は戦前から昭和50年代まではカツオ漁が盛んでした。
当時は40隻ほどのカツオ船が田子の港を基地にしていました。
<さかなや食堂 山本博文さん>
「田子のカツオの全盛期時代がありました。オイルショック以前、忙しかったですよ。にぎやかでしたよ」
にぎわう街の人たちのおなかを満たそうと「さかなや食堂」をオープンしました。
<さかなや食堂 山本博文さん>
「乗組員は(1隻あたり)30人乗っていましたから、昼飯を食べに来てくれました。良かったですね。儲かりました」
人気の秘訣は創業当時から変わらない「カツオ出汁」です。
昭和から続く田子の鰹節店の鰹節を使います。
<さかなや食堂 山元隆義さん>
「この節は厚いので、『花かつお』と違ってちょっと血合いも入っていますが、癖も強いが濃い」
カツオ出汁は醤油、酒などを加えて天つゆになるほか、味噌汁にも使われます。
「さかなや食堂」の味を支えています。
出前の注文が入ればすぐに対応します。
配達先は港です。
注文したのは、ダイビングツアーを企画したショップ。
オイルショックや船の老朽化、漁法の変化などによりカツオ漁は衰退しました。
入れ替わるようにダイビングなどのマリンレジャーが盛んになり、港への出前も増えました。
<ダイビングショップ 白戸茉莉さん>
「お弁当でも、暖かくないものをいただくしかない。出来たててで手づくりで栄養もあって、出前に来てくれるなんて無い環境じゃないですか、最高です」
<さかなや食堂 山元隆義さん>
「地元の人に愛されたいお店でいたいのは間違いないですが、地元に人がいなくなってきているから観光客の皆さんに助けてもらっているって感じです」
<さかなや食堂 山本博文さん>
「今の状態がそのまま続いていってくれたら良いなと思います。今の状態はまあまあですのでね」
さかなや食堂は多くの人に支えられながらきょうも自慢の食事を届けています。