高市氏の総裁就任で「経済」に注目 世界第3位の黒字国家の円安理由は

藤森祥平キャスター:
公明党は幹部会合で、自民党との連立の是非に関する判断を斎藤代表と西田幹事長に一任することを決めました。
10日午後に会談する自民党の高市総裁からの企業団体献金の規制に関する回答を踏まえて、斎藤氏と西田氏が最終判断するということです。
約4半世紀にわたり続いてきた自民公明の連立、公明党内からは連立離脱も辞さないという声も上がっていまして、両党の関係はこれまでにない重大な局面を迎えようとしています。
小川彩佳キャスター:
そうですね。緊張感のある局面が続いていますが、高市氏が総裁に就任したことで、連立の構図のあり方などの政局、そして経済も刻々と動いています。藻谷さんはどの点に注目しますか。

地域エコノミスト 藻谷浩介さん:
私は「経済の話」に注目しています。苦しい物価高の原因は「円安」なんですね。円安が理由で、外国に払うお金が増えている。
対策として、国内で税金を集めて困っている人に配るというのは、お金が外国に出ていくことを防ぐわけではないです。経済対策と言っても本質的な対策になっていない。
円安を円高に戻さないといけないのに、なぜ円安なのか。それはアベノミクスの異次元金融緩和でゼロ金利にしたために、ドルに預金するようになったからです。
日本が衰えたのではなく、2024年でいうと日本は年間30兆円近い黒字を稼いでいる世界第3位の黒字国家です。国民1人あたりで言うと、ドイツに次いで世界2位、1人あたりの預金額は世界1位です。
しかし、30兆円を儲けて40兆円以上のお金をアメリカに投資しているために、円安が進んでいる。ということは、金利が低すぎるんです。ゆっくり金利を上げて、国内にお金を戻さないと。
ところが、政府がもっとお金をばらまいて、政府の財政がさらに悪くなると、円安要因に働きますので、「日本をもっと安く買いたい」という外国の方の思うつぼになっている。
「円安が国内経済に良い」「日本が衰えたからしょうがない」と言う人もいますが、「購買力平価」=物価で見た本当のレートは90円台です。例えば、90円台に一気に到達できなくても、110円台に戻るだけで、日本人の給料も1.〇倍に上がる。物価高も大幅に緩和します。
ゆっくり金利を上げていかなきゃいけない。そのためには、政府の財政がこれ以上悪化して政府自身が破綻するという状況を脱さなければいけない。この状況を政治の人たちはわかっているのか、すごく心配です。
<プロフィール>
藻谷浩介さん
地域エコノミスト 共著「東京脱出論」
(株)日本総研主席研究員